明星大教授ら 自治体調査
東京都内の公立保育園に勤務する非正規職員の比率が半数近くを占めることが14日までに、明星大学の垣内国光教授が自治体などに行った調査で分かりました。非正規職員を対象としたアンケートでは、年収200万円以下が8割以上を占め、低賃金の実態も明らかになりました。
調査は2013年、都内の全62自治体を対象に実施。半数の31自治体から回答を得ました。東京自治労連の協力で9区2市の公立保育園で働く非正規職員に5510部配布した仕事と生活に関するアンケートには、3632人が回答しました。
自治体への調査では、公立保育園の非正規職員数は合計7366人で、比率は44.7%。区部(13自治体)では41.8%、市町村部(18自治体)では57.6%に上りました。
非正規職員が5割以上の自治体は12(1区11市)、6割以上は4市を数え、最も比率の高い自治体で70.8%を占めました。
賃金については、時給で支給されている非正規職員が61%、月給が36%。昇給の制度がある自治体は1区1市、一時金支給は4市にとどまりました。
非正規職員へのアンケートでは、年収(2012年)は50万円未満10.4%、50万~100万円未満32.8%、100万~130万円未満20.0%、130万~200万円未満18.4%と、非正規職員の81.6%が年収200万円を割りました。
労働時間については、1日あたり7~8時間勤務が15.3%で、正規職員の労働時間の4分の3を超す非正規職員が約1割を占めました。
仕事内容では、非正規職員に対して「伝えられない情報が一部ある」が49.7%、「ほとんど情報がない」が32.6%に上るなど、正規職員との間の情報共有の不足が浮き彫りになりました。
保育の質にも関係 垣内国光教授のコメント
多くの非正規の地方公務員は、雇い止めされるか不安な状態に置かれ、年収が低い状態がほとんどだ。行政自らワーキングプアをつくり出しているといってよい。
その場しのぎの非正規雇用をなくし、行政の一方的都合による雇い止めをやめさせ、非正規職員の処遇を改善する必要がある。子どもの安全や気持ちなどの情報を共有し実践を語りあうことで保育の質は維持できる。保育労働者の状態の改善なくして保育の質を高めることは難しいのではないか。
(「しんぶん赤旗」2015年1月16日付より)