日本共産党の田村智子議員は11日の参院決算委員会で、箱根山の活動が活発化するなかで、強化が求められる国の火山防災対策について質問し、専門人材の不足など不十分な観測・研究体制を指摘し、国立の研究機関の必要性を強調しました。
全国に110の活火山があるにもかかわらず、国の火山防災体制は弱体化が進行しています。
火山噴火警報を出す気象庁は、東京はじめ全国4カ所の火山監視・情報センターで47火山を遠隔地から監視しています。監視に従事する人員は104人いますが、そのうち大学などで火山を専門としていた人は17人にすぎず、火山の評価体制が非常に不十分です。
田村氏は、噴火の分析などに専門的知見が必要とされながら「地質学的な評価などは大学の研究者に任せており、気象庁には火山現象のすべてをきちんと評価できる体制がない。しかも予算がないため外部の研究者は手弁当で参加せざるを得ない」と指摘。御嶽山での戦後最悪の火山災害が起きてもなお対策の強化がされてこなかった問題をただしました。
太田昭宏国土交通相は「現時点では精いっぱいやっている」と答弁するのみ。田村氏は「国の体制がとられてこなかったことは明らかだ」と述べました。
田村氏は、火山の噴火はそれぞれに特徴があり、継続的な観測・研究が必要だと主張。火山国のイタリアやインドネシアでは火山ごとに観測所を配置し、個別の火山の専門家を育成していることを紹介しました。
火山噴火時にその評価をする噴火予知連絡会は気象庁の私的諮問機関にすぎず、法的権限も予算もありません。田村氏は、同予知連の藤井敏嗣会長がそのことを指摘し、「日本にも国立の研究機関が必要」と提言したことにふれ、観測・調査研究・防災対策を一元的に担当する機関をつくるべきだと求めました。
山谷えり子防災担当相は「一体的体制に向けて具体的な検討をすすめる」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2015年5月12日付より)