東京都の足立区長・区議選(17日投票)で、国民の不安は批判に背を向けて「戦争する国づくり」を急ぐ安倍政権に追随する区政からの転換が、大きな争点となっています。
昨年7月1日、安倍政権が集団的自衛権の行使を容認する「閣議決定」を国会で強行しました。足立区議会では前日の6月30日の本会議で、日本共産党区議団が「集団的自衛権に関する憲法解釈変更に反対する決議」を提案。他党にも共同を呼びかけましたが、自民、公明、みんな(当時)、無会派は決議案に反対しました。
撤回求めて論戦
「閣議決定」強行の直後、自衛隊から勧誘のダイレクトメールが青年あてに続々と届き、区民から「赤紙が来た」という声が上がりました。こうした勧誘を行う自衛隊に情報提供をした自治体の一つが、足立区です。
足立区は、18~26歳の区民の生年月日、住所などを記した名簿を抽出し、それらの個人情報を自衛隊に閲覧させていました。個人情報保護条例は、個人情報の外部提供を原則禁止しています。共産党区議団は7月30日、近藤弥生区長あてに抽出閲覧の撤回を求めて緊急に申し入れました。
9月24日の定例区議会では、ぬかが和子区議が代表質問で、法的根拠がない抽出閲覧に応じないよう区長に迫りました。答弁に立った区危機管理室長は、情報提供は自衛隊法に基づくものであり、区の個人情報保護制度で定める例外事項に該当すると答弁しました。
しかし、共産党区議団は、針谷みきお区議が10月10日の区議会決算特別委員会で、この答弁に反論。自衛隊法施行令で市町村に提供を求められる資料は統計資料であり、個人情報は含まれないと指摘。区側は答弁せず、否定できませんでした。
斉藤候補に期待
選挙戦で「若者を戦場に送らない」と訴え、自衛隊への個人情報提供の中止を公約する「足立革新区政をつくる会」の斉藤まりこ区長候補=無所属・新、共産党推薦=と共産党の8区議候補への区民の期待は高まっています。
告示日の10日、斉藤区長候補は北千住駅前で「母親として、区が自衛隊勧誘に加担することは見過ごせない。『戦争する国』への流れを足立区から変えたい」と訴えました。
演説に耳を傾けていた男性は「憲法9条が少しずつ変えられている不安を覚える。斉藤区長候補と、昔から戦争反対を貫いている共産党に頑張ってほしい」と話しています。
区民との対話の中でも「戦争する法律はやめてほしい」との声が相次いでいます。共産党後援会員の女性は「米軍の爆撃で防空壕に避難した体験を語る都、こちらが驚くほど『戦争なんてとんでもない』『平和を守るのは共産党』などの声が返ってきます。戦争法案反対の斉藤さんと共産党を何としても押し上げたい」と決意を語っていました。
(「しんぶん赤旗」5月15日付より)