野党各党は10日の衆院安保法制特別委員会で、集団的自衛権行使を可能にする戦争法案について「合憲」とした9日付の政府見解をめぐり、その「違憲」性をいっせいに追及しました。国会論戦で法案の問題が次々あらわになり、国民の反対世論が広がる中、安倍政権は追いつめられています。(関連記事)
衆院安保特委
日本共産党の宮本徹議員は特別委で、政府見解が引用した1959年12月の最高裁判決(砂川判決)では「集団的自衛権は一切議論にもなっていない」と追及しました。横畠(よこばたけ)裕介内閣法制局長官は「(判決は)集団的自衛権について触れていない」と認めました。安倍晋三首相や自民党は、砂川判決が集団的自衛権行使容認の根拠であるかのように言いはやしていますが、これが破たんに追い込まれる重要答弁です。
政府見解は、砂川判決の「(国の)存立を全うするために必要な自衛の措置を取り得る」としている部分を集団的自衛権行使容認の根拠にしています。しかし、この主張には憲法解釈変更論者からも異論が噴出。昨年7月の「閣議決定」にも盛り込まれませんでした。
宮本氏は、砂川判決では、駐留米軍が憲法9条2項の「戦力」にあたるかどうかが問われ、集団的自衛権についての判断を行っていないと指摘。しかも、政府見解が引用している部分は、判決を導き出す論理とは直接関係ない傍論にすぎないとただしました。
横畠長官も「(引用部分は)裁判で結論を出すために直接必要な議論とは別」と述べ、「傍論」であることを確認しました。
宮本氏は、最高裁判決は、駐留米軍を「違憲」とした地裁判決にあわてた日米両政府が最高裁に圧力を加えてだされたものだと指摘。「正当性が疑われる砂川判決を憲法9条の解釈を覆す根拠に使うなどとんでもない」と批判しました。中谷元・防衛相は「指摘も踏まえて、今後さらに勉強していく」としか答えられませんでした。
(「しんぶん赤旗」6月11日付より)