2015年度補正予算案
宮本徹議員の反対討論

衆院本会議

日本共産党の宮本徹議員が14日の衆院本会議で行った、2015年度補正予算案に対する反対討論は次の通りです。


(写真)反対討論に立つ宮本徹議員=14日、衆院本会議

(写真)反対討論に立
つ宮本徹議員=14日、
衆院本会議

安倍総理は、野党が憲法53条にもとづいて求めた臨時国会召集の要求を無視しつづけ、本通常国会が開会するにいたりました。ところが、総理は、この明々白々な憲法違反について、「適切に対応している」と居直りました。権力をしばる憲法をときの権力者が無視するならば、それは独裁政治のはじまりです。

そして、予算委員会の審議を通じて、安倍政権の憲法無視、民意無視、国民生活軽視の政治姿勢がいっそう明らかになりました。

委員会の質疑でわが党は、防衛省がアフリカ・ジブチの自衛隊基地を米軍支援の一大兵たん基地へ強化する研究を進めていることを追及しました。アメリカから、過激組織ISに対する軍事作戦への支援を求める要請があったのかどうか、中谷防衛大臣は「相手国のこともあるのでお答えを差し控えさせていただく」と、国民、国会へ事実を説明することすら拒否しました。アメリカからの要請を断ると明言せず、自衛隊ジブチ基地を米軍の対テロ戦争支援の拠点にしていくことなど到底許されません。

また、沖縄の米軍基地の問題では、わが党は、米軍の運用を優先する日本政府の態度が基地をいっそう危険にしていることを指摘し、沖縄の「建白書」にそって移設条件なしの普天間基地の閉鎖・撤去を求めました。ところが、政府は、選挙で繰り返し示された沖縄の民意に背を向け、県民が苦しむ実態に寄り添わない答弁に終始しました。

さらに、「軽減税率」の与党合意に盛り込まれた「財政健全化目標との関係で、消費税制度を含む税制の構造改革について検討を加え、必要な措置を講ずる」の文意について、2018年度以降の消費税のさらなる増税が選択肢として含まれると答弁がありました。「軽減税率」で痛税感の緩和などといいながら、一方でさらなる激痛をもたらす消費税大増税にむけたレールをしくなど断じて許されません。

次に、補正予算の問題点を指摘します。

国民の所得と消費は、実質でみれば3年前を下回ったままで回復していません。国民の消費は冷え込んだままです。

総理は、本補正を「成長と分配の好循環の形成に向け」た「緊急に実施すべき対策」とします。しかし本補正は、国民消費を冷やす原因に全く手をつけていません。逆に、軍事費増、環太平洋連携協定(TPP)推進や原発等のインフラ輸出を狙う、財界と大企業優遇をさらに強めるものとなっています。

まず、軍事費は、本補正1966億円により5兆1718億円となり、過去最高額となります。中期防衛力整備計画をも大きく上回る大軍拡予算となっています。

F35戦闘機、P1対潜哨戒機、そうりゅう型潜水艦、護衛艦など兵器の後年度負担分を今年度に繰り上げて支払うものが437億円です。空母艦載機の岩国飛行場移転に伴う施設391億円、これも後年度負担分の繰り上げです。

いまから数年先に完成する潜水艦や護衛艦の後年度負担の繰り上げ払いの「どこが」「なにゆえに」「緊急に必要な対策」なのか。

今回の補正は、国民多数の反対を押し切り強行した安保法制を、本予算と一体となって財政面から支えるものとなっており、わが党は到底認めることはできません。

次に、TPPです。政府は、TPP条文の日本語訳をやっと公開しました。しかし、関税や非関税の条件を記載する肝心の付属書の訳はありません。しかも、政府は今日まで、日本国民が一番知りたい「TPPの具体的交渉経過」や、国民生活やなりわいに与える悪影響について、たとえば食の安全やコメ、医療等、説明を拒む姿勢を貫いています。

委員会の質疑でも、この間のEPA(経済連携協定)で農林水産物の輸入が増えており、TPPで自給率低下は避けられないこと、農産物価格の下落など農家の将来不安がいっそう増していることが明らかになりました。ところが、政府は、TPPをバラ色に描く答弁を繰り返し、農家の不安や懸念を一顧だにしない姿勢があらわになりました。

こういうもとでTPP批准対策予算を提出したことは、到底認めることはできません。

わが党は、TPP交渉経過の詳細の公開を求めます。そして、2月予定とされるTPP署名は断固反対であり、TPPからの撤退を求めます。

さらに、社会保障です。安倍政権の3年間で1・2兆円の年金給付が削減されました。年金生活者支援を言うならば、年金給付額が年々減額しないように、マクロ経済スライド制度を撤回し、最低保障年金こそめざすべきです。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)で、国民が支払う保険料の運用により8兆円毀損(きそん)する問題は重大であり、株式に偏る投機的運用をやめるべきです。

特養ホームや保育園整備において都市部では用地の確保が大きな課題となっています。にもかかわず、なぜ、国有地の減額貸し付けの対象から、あえて保育園をはずしたのか。少子化対策にあらゆる政策手段を総動員したとはおよそいえません。

以上を指摘して、反対討論を終わります。

 

(「しんぶん赤旗」2016年1月15日付より)

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