“憲法守る”弁護士候補が語る インターネット番組「とことん共産党」 山添候補が出演

 

夏の参院選挙では、日本共産党から、山添拓(東京選挙区)、大河原としたか(京都選挙区)両弁護士候補が国政に挑むことで話題をよんでいます。16日放送のインターネット番組「生放送!とことん共産党」に出演した2人は、“先輩”にあたる仁比聡平参院議員とともに、「弁護士トリオでSTOP! 憲法破壊の安倍政権」をテーマに熱く語りました。司会は小池晃副委員長・参院議員と朝岡晶子さん。

若い世代の視線

冒頭、朝岡さんから紹介された2候補は、立候補の要請を受けた思いについて語りました。

山添 京都府の出身です。東京で、2011年から弁護士として仕事を始めました。東日本大震災と福島原発事故が起きた年で、原発事故で避難生活を余儀なくされている人の事案に取り組みたいとの思いで、福島にも何度も通いました。

大河原 弁護士14年目です。一昨年は京都弁護士会の副会長をさせていただきました。労働者の命を守るということでアスベスト訴訟をずっとやってきて、先日、京都地裁で全面勝利判決を勝ち取りました。自分が国会へ行き、ぜひとも政治解決を図っていきたいと思います。山形県川西町の出身で、井上ひさしさんと同郷です。

小池 地域を回って活動していると思いますが、反応は?

山添 二つ感じています。一つは、若い世代からの視線を感じることです。演説をしていると働いている若い人や学生が手を振ってくれます。働き方や学費の問題を話しているときに振り向いてくれる人が多い。もう一つは「共産党、勢いあるね」と言われることです。

大河原 選挙区を回る中で、そこで頑張っている草の根の方々から「よく決意してくれた」と元気になっていただいているのが、こちらにとっても励みになっています。共産党の草の根の力というのは大きいなと実感しています。

労働問題考える

2人が共通したテーマで、弁護士としても政策でも訴えているのが、ブラック企業・ブラックバイトの問題。2候補は、派遣切りや労働問題にかかわってきた経験について語りました。

大河原 リーマン・ショック直後に大量に派遣切りがされたなかで、派遣会社が倒産し、派遣先企業を相手に雇用責任と損害賠償を求め、勝利的和解を勝ち取りました。いま、賃金未払いや残業未払いという問題が多くなっています。固定残業代という仕組みを使って残業代を実質未払いにしているケースや、独立自営業であることを装い残業代は払わないなど、手を替え品を替え残業代未払いや賃金未払いが横行しています。

山添 私が一生懸命取り組んできたのは過労死、過労自殺の問題です。毎日、日付が変わるくらいまで仕事をされ、タイムカードを打ち込む時間が27時や28時、翌朝は7、8時から仕事をしているケースがありました。
過労死事件や遺族が依頼者なのですが、家族が失われた哀しみ、大黒柱を失った経済的不安、加えて、私が休んでいいよと言っていれば死ななくてすんだかもしれないと自分を責める――二重三重に苦しまれる様子に心を痛めました。これをなかば放置している今の政治は人権侵害じゃないかと思ってきました。

政治の役割とは

小池 共産党はブラック企業規制法案を国会に提出しています。パワハラという言葉を法律で定義したのは、党の規制法案が初めてです。通常国会で継続審議になっています。雇用問題でも国会で奮闘してきたのが弁護士としての先輩である仁比議員です。

仁比 立憲主義と民主主義を取り戻すというテーマが国民的課題になる中で、法とは何かが問われています。
法は王様や独裁者が国民を縛るための道具じゃない。懸命に生きる人の人生と権利のたたかいのために方がある。その根底にあるのが、憲法が掲げる個人の尊厳です。この価値を貫くために私たち弁護士はどんな権力からも自由で、事実に基づいて、権利の実現と自由のためにたたかい抜く。生きざまであり、職業、責務であり、幸せだと思うのです。
ブラック企業や派遣切り、アスベストや水俣病―こうした被害、人間らしさを奪う政治に怒りを背負って、断固として被害をもたらす加害の構造に対して立ち向かう、それが弁護士議員らしさです。弁護士であることと、国会で国民とともにたたかうことはすごく似ているし、私たちは国会でその議席を必ず預からなければいけない。

大河原 裁判の活動と運動や政治の取り組みは両輪だと思っています。裁判は力を持つけれども、それだけでは全面解決しきれない。全面解決をし、新しい被害を生みださないためには政治の果たす役割が必ず大切になってきます。

山添 私もそう思います。原発事故被害者の問題では、相手は国や東電など巨大な敵。原告になる方の決意は並々ならないものがある。切々と被害を訴えられる中で、どうにもならない現状、避難生活での苦しみや、納得いかない怒りをあらわにする姿に、こういう人たちの権利を保障していくということが、そもそも憲法が求めていることだし、その思いに寄り添うことが私たち弁護士の役割で、その思いに寄り添うのが共産党という政党でもあると思います。

仁比 弁護士には理論派と肉体派二通りがいて、私は典型的な肉体派(笑い)。今、党の弁護士議員は私1人。3人がそろったら共産党議員団の進化系だと思います。

現場で当事者とともに

弱い立場に置かれた人のためにたたかう弁護士にあこがれ、弁護士を目指しているという秋田県の高校3年生から「学生時代の様子やアドバイスを」とのメールが届きました。

山添 いろんな現場を観に行くということを、学生時代や法科大学院時代もするようにしていました。それが一番、弁護士を目指す勉強の中で役立ったと思います。ハンセン病の療養所で、当時ご健在だった谺雄二(こだまゆうじ)さんに、裁判に立ち上がるか悩んでいた時に来てくれた弁護士が一緒に風呂に入って励ましてくれたという話をうかがいました。ハンセン病患者と同じ風呂に入って励ましてくれるということに心強く思って裁判をたたかう決意ができたと。その話をきいてぜひそういう弁護士になりたいと思ったんです。いろんな事件が起きている現場に行って当事者の話を聞くことがすごく大事だと思います。

大河原 同感です。社会で起こっていることがどういう意味を持っているのか。それらを常に意識して、その中で自分が弁護士になったらどういうことができるのか、弁護士にならなくても社会運動のなかでどういうアプローチをしていけるのか意識しながらニュースを見るといいかもしれません。

仁比 弱い立場に置かれた人のためにたたかう弁護士になりたいと思っているということは、きっと理由があると思うんです。そこを大事にしてほしい。焦らず、広く視野を置いて、いろんな人の話を聞いたり、本を読んだり映画を観たり友達と語り合いながら磨いてほしいと思います。

戦争は許さないが原点

司会の小池副委員長は、この間、安倍晋三首相が、緊急事態条項や憲法9条2項の「改正」、参院で与党ら改憲勢力が3分の2の議席をとると明言するなかでの選挙になっていると指摘。弁護士候補者はこれにどうたたかうのかききました。

山添 私の学生時代は第1次安倍政権で、まず教育基本法が改悪されるということは許せないと、国会に向けてデモをやりました。翌2007年に、9条改悪にきちんと立ち上がることが必要、これを止めるという学生の思いを形にすることが必要だと、都内のいろんな大学の9条の会で、1000人をこえる規模で早稲田大学で集会を開きました。この“ピースナイト9”の活動は今も続いています。

大河原 弁護士になってすぐ、中国残留孤児の方の裁判に、それから被爆者の方の原爆認定訴訟に取り組むようになりました。二つの点で共通するのは、戦争になったとき、被害をうけるのは軍隊じゃなくそこにいる市民のみなさんなんだということです。戦争を絶対許してはいけないということが僕の弁護士活動のスタートでもあったので、憲法を絶対守らないといけないという決意でやっています。

小池 あれだけ憲法からかけ離れた戦争法を通してしまったから、次は憲法そのものを破壊しようという方向になってきている。

仁比 解釈改憲と明文改憲は車の両輪で、片方を暴力採決で動かす、そうすればもう片方の車をもっと前に動かすという形で戦争する国への暴走をしようとしています。

小池 野蛮な改憲論がでてくる国会、しかも、(安倍政権は)次の選挙で3分の2を占めて明文改憲に突き進もうとしているなかで、党の議席が増えること、そのなかでも弁護士の議員が国会にはせ参じてくれることは、たたかいを励ますし心強い。

仁比 東京と京都の選挙で勝ち抜くことは、そう簡単な選挙じゃない。だけど安倍政権の暴走は絶対に止めなければいけないし、そのためには共産党が絶対に勝利しなければいけない。2人の弁護士になんとしても勝ちあがってもらいたい。僕らが頑張り抜いてこそ、(改選定数)1人区での「野党は共闘」の声にこたえる動きも発展していく。熊本選挙区のあべ広美さん(市民・野党統一候補)も大事な弁護士仲間。この流れで日本の政治を変えていきましょう。

大河原 参院選まであと5ヶ月。安倍政権の暴走を止めるため、改選定数2の選挙区で勝ちきるたたかいをやっていきたい。

山添 立憲主義をわきまえない安倍首相は憲法改定を語る資格がない。国会にいって仁比さん、大河原さんと声を大にして言いたい。

働きやすい社会へ

番組終了後、これからの抱負を2人にききました。

山添 福島原発事故被害者の救済とともに、ブラックな働かせ方の問題に取り組みたい。
生活するために仕事をして賃金を得るのに、仕事のし過ぎで命を落とすというのは本当に異常なことです。それをさらに促進するようなアベノミクスは、“1億総ブラック化”です。これを必ず止め、働きやすい暮らしやすい社会をつくるルールづくりの仕事をしたいですね。

大河原 働くことは、人間の生活にとって基本。働く意思、働ける場所があって、きちんと働いたら生活できる給料がもらえるという、その基本が崩れている。そこをなんとしても守らせるような働き方のあり方をつくっていきたい。
アスベスト被害の問題は、裁判にかかわってきた者として全面救済にむけ国会でやりとげたい。

(「しんぶん赤旗」2016年2月18日付、19日付より)

 

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