保育園の待機児童が社会問題となるなか、東京都東久留米市が公立保育園の全園廃止を3月議会で発表しました。全国でも例をみない計画に父母ら市民から反発の声が上がっています。
長女入園予定の女性「全く聞いていない」
「行政改革」の名のもと、全国で公立保育園の民営化が進むなか、同市でも民営化を進めてきました。今回の計画は現在ある六つの公立保育園を廃止するにあたり、代わりの保育園はつくらず、公募要綱で義務付けていた保育の引き継ぎも一切しない方針です。
廃止予定とされた「しんかわ保育園」は、2018年度から段階的に募集を停止し、在園児が卒園したら閉園する計画です。
16日の市議会厚生委員会で計画撤回を求めた日本共産党の原のり子議員は「市は、子どもたちの受け皿は“すべて民間の参入によって解消する”といい、保育園に関して手を引くというのか。進め方も内容もあまりにも乱暴です」と批判しました。
同市の公立保育園は障害児保育のほとんどを担っています。園庭開放時には近隣の園庭のない民間保育園の子どもたちの遊び場としても活用されるなど、子育て支援の拠点となっています。
今春「しんかわ保育園」に入園予定の1歳の長女をつれて議会を傍聴した女性(35)は「申込時に廃園なんて全く聞いていなかった。本当にだまされた。少子化対策といいながら、これでは安心して子どもを産めないし、育てられない」と怒りをあらわにしました。
全国的に見ても異常
全国保育団体連絡会の実方伸子事務局長の話 公立保育園の民営化は全国的に進められていますが、貧困対策などに特化した基幹保育所として自治体に数カ所は残すというのが特徴です。公立保育園全廃という東久留米市の計画は全国的に見ても突出して異常であり、自治体の責任放棄といえます。待機児童解消のためには、自治体の責任で緊急対策を講じること、既存の制度を最大限活用し保育施策を拡充することが必要です。
(「しんぶん赤旗」2016年3月17日付より)