政治資金疑惑 舛添都知事が会見
東京都の舛添要一知事は27日、定例記者会見で、政治資金をめぐるさまざまな疑惑について、元検事の2人の弁護士に調査を依頼した、と明らかにした上で、個々の問題に関する具体的な説明は改めて拒否しました。調査結果の公表期限や弁護士の氏名についても明らかにしませんでした。
この日の会見で、「いままで出た疑惑の中で何割がクロでないといえるのか」などと記者に問われ、舛添氏は「何を言っても、私は信頼を失っていますから」と述べ、自ら知事の資格を失っていることを認めました。
政治資金収支報告書の虚偽記載や美術品などの横領疑惑で市民団体が東京地検に告発したことについての本紙の質問に対し、舛添氏は「弁護士に相談した上で対応する」としました。
6月1日から始まる都議会での対応について、日本共産党が求める百条委員会が設置されれば、「指示に従い」「質問には誠実に答える」と述べました。
共産党都議団の公開質問状の回答を拒否した問題については「(弁護士の)調査結果を待ちたい」と答えるにとどまりました。
知事としての政治姿勢も問われ、この1年間に国内視察のうち約7割、39回が美術館などで、高齢者施設や保育園の視察が後回しになっているのでないかとの質問に、舛添氏は事実を認めました。
解説
都議会は百条委設置し究明を
高額海外出張、公用車で神奈川県湯河原町の温泉付き別荘通い、そして政治資金の私物化―。報道陣約140人が出席し、1時間24分にわたった27日の会見で舛添要一都知事が明かしたことは、弁護士2人に調査を依頼したことだけでした。
5月13日以降3回、計5時間27分にわたる会見で舛添知事が疑惑について釈明したのは、13日に家族旅行の宿泊費、天ぷら・回転ずし店などの飲食費7件・45万円は私的な支出だと認め、返金を表明したことだけです。20日の会見では「第三者」の弁護士に調査を委ねると説明を拒み、27日も、弁護士2人に調査を依頼したと述べただけで、疑惑についての説明を再び拒否しました。
これに対し都民から「知事が依頼した弁護士が公正・中立的な立場で検証できるのか」との声が広がっています。
舛添氏の政治団体は、家族旅行、食事代、肌着、子ども服、漫画、似顔絵入りまんじゅう、ネットオークションでの美術品購入など数多くの私的支出を、政党助成金も原資になっている政治資金から流用していました。
「公金をごまかし、私腹を肥やしていた人には知事は任せられない」と都民の怒りが増大。26日までに1万9900件の抗議・意見が都に殺到し、5000万円裏献金事件で辞職に追い込まれた猪瀬直樹前知事への抗議(2403件)の8倍にのぼります。
日本共産党都議団は25日の議会運営委員会理事会に、6月1日に開会する都議会第2回定例会で、強力な調査権限を持つ百条委員会の設置を提案しました。疑惑の徹底究明の世論に応えるのかどうか、都議会各会派の対応が問われます。
知事は真相を正直に明らかにし、責任を取って都政から退場するしか道はありません。
(岡部裕三)
(「しんぶん赤旗」2016年5月28日付より)
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