豊洲問題 国の責任問う
築地市場(東京都中央区)の移転先とされている豊洲新市場(同江東区)の建物下で土壌汚染対策の盛り土が行われていなかった問題で、日本共産党の笠井亮議員は3日の衆院予算委員会で、国の権限をめぐって政府をただしました。中央卸売市場の位置を築地から豊洲へ変更するには農水相の認可が必要で、認可は国が定める中央卸売市場整備計画への適合などが要件となっています。
笠井氏は、整備計画に豊洲移転を盛り込む際に開かれた審議会で、盛り土を行うとの偽りの説明がされたことを挙げ、「審議会の答申の前提が崩れている。審議をやり直すのが筋だ」と迫りました。さらに笠井氏は、「移転が国の整備計画に盛り込まれ、都はそれを後ろ盾に計画を進めてきた。国の責任が問われる」と述べ、豊洲への移転を「整備計画から外すべきだ」と求めました。
山本有二農水相は「都が国の審議会に提供した資料に間違いがあったことは遺憾だ」と答弁。「審議会の対象から外すかどうかも含めて厳正に検討したい」と述べました。
【質問詳報】
笠井氏は、2007年の質問主意書(笠井氏提出)に当時の福田康夫内閣が、食の安全性確保などに万全の対策を講じ、消費者などへの十分な説明を行い理解を得るよう、国から東京都に求めているとの答弁書を出したことを示し、「安倍内閣としても立場は変わらないか」と質問。安倍晋三首相は「そういうことだ」と認めました。
豊洲市場への移転には農水相の認可が必要です。認可には国が策定する中央卸売市場整備計画への適合が要件となっています。「新設市場―豊洲」を盛り込んだ整備計画の策定にあたって農水省は、食料・農業・農村政策審議会に意見を求め、了承を得ています。
笠井氏は、建物地下に盛り土が行われず空洞だったことを「農水省はいつ知ったのか」と質問。山本有二農水相は「報道によって情報を得た」と答えました。
笠井氏は、審議会に「盛土を行う」とする都作成の資料が提出されたことを挙げ、「都の説明は虚偽だった。審議会の答申の前提が崩れている」と指摘。「農水相として直ちに審議会開催を求め、経過を報告し、審議をやり直してもらうのが筋ではないか」と迫りました。
さらに笠井氏は、11年の審議会で山口範雄部会長(味の素株式会社会長)から、移転を整備計画に記載するにあたっては、都が土壌汚染対策を行い、認可申請の段階で卸売市場法に定める認可基準に合致するための対策をとることが前提であり、「都の対策が認可基準に合致しなければ整備計画の対象から外れることを明確にすべき」だとの意見が出ていたことに触れ、「部会長の意見は重い。豊洲への移転計画を『中央卸売市場整備計画』の対象から外すべきだ」と求めました。
(「しんぶん赤旗」2016年10月4日付より)