共産党都議団調査で判明
都のシステム機能せず
東京都が築地市場(中央区)の移転先とする豊洲新市場(江東区)で、土壌汚染対策の重要な柱である地下水位の管理システムが機能しておらず、事実上の破綻状態にあることが27日、明らかになりました。
日本共産党都議団が記者会見で現地調査(26日)の結果を公表しました。
豊洲新市場の地盤は高濃度の発がん性物質ベンゼンや猛毒のシアン化合物、水銀、ヒ素などで汚染されています。都は土壌汚染対策として土壌の掘削と盛り土を行い、地下水をくみ上げて水位を管理するとしていました。
調査結果によると、都は「地下水の水位を基準水面からの高さ1・8メートルで管理する」と説明していましたが、同システムの本格稼動開始後10日以上たっても地下水位は平均3・4メートル、高い所では4メートル以上で推移していることが判明しました。
また、都は新市場の58カ所に設置した揚水用の井戸は「地下水位が高さ1・8メートルに達すると稼動し、全体で1日600立方メートルをくみ上げる」と説明していましたが、実際には本格稼動後も揚水量は1日平均273立方メートルにすぎません。地下水の変動を見るのに不可欠な雨量計も設置していませんでした。
記者会見で、かち佳代子都議は「地下水管理システムは当初の計画通りに機能せず、事実上の破綻状態に陥っている。盛り土が再汚染された危険が強く、全面的な調査を行う必要がある」と強調。同システムを設計したした日水コンとの契約、原因調査とともに都の土壌汚染対策を全面的に検証し、豊洲移転中止に向けた本格的検討をすべきだと述べました。
(「しんぶん赤旗」2016年10月28日付より)