参院憲法審査会が16日に開かれ、各会派の代表が憲法に対する考え方について意見表明をしました。同審査会での実質審議は今年2月以来、9カ月ぶりです。
日本共産党の山添拓議員は、国会に改憲発議をあおる安倍晋三首相を批判し、「いま求められていることは、憲法改定に進むのではなく、憲法をいかし、憲法が掲げる理想に現実を少しでも近づけることだ」と主張。「国民多数が改憲を求めていないなかで憲法審査会を動かす必要はない」と指摘しました。
山添氏は、弁護士として福島原発事故の被害者の救済や過労死事件などに取り組んできたことにふれ、「権利を侵され、たたかう人々の隣にはいつも憲法があった」「くらしに関わるあらゆる場面で、憲法を羅針盤に政治のかじを切ることこそが国会に求められている」と述べました。
野党会派の議員も戦争法を強く批判。民進党の白真勲氏は「安保法制を放置して、憲法審査会が改憲の議論を行うことは許されない」と述べました。 安倍政権が安保法制=戦争法に基づき自衛隊に南スーダンPKOで新任務を付与したことについて、「違憲の立法の上に、内戦状態の現地の状況を無視して自衛隊を『殺し殺される』部隊にするなど言語道断だ。直ちに安保法制は廃止すべきだ」と強調しました。
一方、自民党の中川雅治氏は「憲法9条は自衛隊の位置づけが明確ではない」などとして、審査会での審議加速を主張。日本維新の会も、改憲に向け審査会での審議を推進する立場を示し、公明党は現行憲法を評価すると述べつつ、条文を付け加える「加憲」の立場を表明しました。
意見表明後の討論では、日本共産党の吉良よし子議員が「自民党改憲草案は憲法の基本原理を根底から覆すもの。議論のベースにするなどもってのほかだ」と強調。すでに安倍政権が「政治的中立性」などの言葉で、放送や教育の自由を踏みにじっている実態をあげて「思想信条、内心の自由を保障する憲法に照らして絶対に許されない」と批判しました。
(「しんぶん赤旗」2016年11月17日付より)