築地市場(東京都中央区)移転予定地の豊洲新市場用地(江東区)の土壌汚染問題をめぐり、各分野の科学者6人が21日、都庁で会見し、「築地市場の豊洲移転は中止し、国民・都民の食の安全・安心を守れ」とする声明を発表、小池百合子知事宛てに移転中止を申し入れました。
声明を呼びかけたのは、浅見輝男(茨城大学名誉教授)、熊澤喜久雄(東京大学名誉教授)、瀬戸昌之(日本環境学会会長)、富山和子(立正大学名誉教授)、本間慎(フェリス女学院大学名誉教授)、宮村光重(日本女子大学名誉教授)の6氏。会見には呼びかけ人と賛同人の池上幸江氏(大妻女子大学名誉教授)が出席しました。
会見で本間氏は「食品を扱う市場を汚染されているところへ移転するのはやめるべきだ。豊洲移転は100年の悔いを残す」と強調。熊澤氏は、豊洲新市場予定地は「砂質で地下水が高い、悪い土壌基盤に汚染物質が捨てられており、除染も大変。地下から汚染物質が噴き上がることを防げないのではないか」と述べました。
声明は、東京ガス工場跡地である豊洲新市場が有害物質で汚染されていることを知りながら、都が市場関係者の反対意見を無視して強引に移転を進めたことを批判。表層土壌の除去、盛り土、汚染地下水の管理といった土壌汚染対策がいずれも不十分かつずさんで、汚染土壌が広範囲に残っていると指摘しています。その上で、「国民・都民の現在と将来にわたる命と健康を守るために、東京都は豊洲移転をきっぱり中止する決断をすべきである」とし、築地市場の現地再整備などを提案しています。
声明には、立川涼(愛媛大学名誉教授)、暉峻衆三(元東京教育大学教授)、畑明郎(元日本環境学会会長)、三国英美(広島大学名誉教授)の各氏ら52氏が賛同しています。
(「しんぶん赤旗」2016年12月22日付より)