東京都築地市場の豊洲移転計画が大問題になるなか公明党の機関紙「公明新聞」が、豊洲新市場(江東区、東京ガス豊洲工場跡地)の工事を受注したゼネコン14社から、市場施設建設工事が始まった2014年以降の3年半だけでも計190回余の広告を掲載し、推定8732万円の広告料収入をえていたことが17日、本紙の調べで明らかになりました。
都は豊洲新市場の工事を土壌汚染対策(11年8月発注)と市場施設建設(14年2月発注)の2段階に分けて発注し、市場本体施設は16年5月に完成。ゼネコン23社が工事を受注しました。
本紙は「公明新聞広告料金表」(16年1月時点)を入手し、豊洲受注企業の広告掲載状況を調査しました。
その結果、14年1月から17年6月16日までの間に、公明新聞は工事を受注した企業のうち、大手ゼネコンの大成建設、鹿島、竹中工務店、大林組の4社と、準大手ゼネコンの戸田建設、熊谷組、東急建設、西松建設など、あわせて14社の広告を掲載したことがわかりました。
突出しているのは大成建設で、1回80万円の全5段広告(天地16・8センチ、左右38センチ)を毎月出稿し、推定広告料は計3360万円。次いで戸田建設の1434万円、鹿島の1298万円、熊谷組の1201万円の順でした。広告の大きさは全5段、全3段、記事中、名刺広告などさまざまで、掲載回数は1カ月平均4・5回にのぼります。
このほか、豊洲新市場施設の設計を請け負った大手設計会社の日建設計、電気・設備工事などを受注した企業の広告も掲載。
豊洲新市場工事の入札をめぐっては、大手ゼネコンの談合疑惑情報が飛び交いましたが、都は問題がないとして入札を強行。3件の施設建設工事では、ゼネコンの要求を受け入れて都が予定価格を407億円(約65%)も増やし入札を実施。落札率(予定価格に占める落札額の比率)は3件とも99・9%を超え、官製談合疑惑が深まりました。
築地市場の豊洲移転問題をめぐる都議会の調査特別委員会では、日本共産党都議団が工事受注ゼネコンの役員の証人尋問を提案しましたが、自民党、公明党が反対し、実現しませんでした。
金で政策買われている疑惑
政治資金オンブズマンの上脇博之共同代表(神戸学院大教授)の話 公明党は自民党などと違って自己資金の割合が比較的多い党だと思っていたので、ゼネコン広告費の調査結果を聞いて驚いた。
公共事業受注企業の政党機関紙への多額の広告費支出は、事実上の政治献金であり、重大な問題だ。公明党は、自民党とは政策的に一体化してきているが、政治資金の面でも自民党化しつつあることを裏付けている。
それが、豊洲新市場問題にも反映しているのではないか。都民の多額の公金が、新市場建設工事の受注企業に支払われて、その一部が広告費という形で公明新聞に還流するという実態は、(受注企業から)お金で政策が買われているのではないかという疑惑が生じる。
(「しんぶん赤旗」2017年6月18日付より)