高すぎる国民健康保険料(税)をなんとかして―。各地で2017年度の保険料決定通知が届く中、住民の悲鳴が上がっています。東京23区は引き上げ幅が大きく、あす投票の東京都議選では国保料引き下げが大争点の一つです。保険料を滞納し保険証を取り上げられ医療機関にかかれない人が後を絶たないことは、「国民皆保険」の大本を揺るがす異常事態であり、全国的な大問題です。普通に保険料が払え、安心して医者にかかれるまともな国保にするため、都民の審判は大きな意義があります。
都の公費削減が拍車かけ
負担能力をはるかに超える国保料が記された自治体からの通知書を手にし、頭を抱える世帯が続出しています。東京23区の場合、17年度は1人当たり年間平均11万9千円の保険料になります。16年度と比べると7252円のアップ、過去10年間で最大規模です。
最近約20年でみると23区の高騰ぶりは際立ちます。給与収入400万円の夫婦と子ども2人の4人世帯の1999年度の国保料は16万円でした。それが17年度は2・6倍、42万円に跳ね上がりました。23区(人口930万人)は国保料を統一して決めています。人口100万人以上の都市で比べると最悪の上げ幅です。99年に低い方から2番だった23区の保険料は、17年度には高位2番へと完全に逆転する事態です。都内の市町村でも高い保険料は深刻です。
現在の国保の加入世帯は、非正規労働者や年金生活者、無職の人が8割を占め、他の公的医療保険と比べて低所得化する構造的問題を抱えています。保険料を抑えるためには、国や自治体が公費を投入することが不可欠です。しかし、99年に誕生した石原慎太郎都政以降の3代の都政は、国と一体となって、国保への公費削減を推進してきました。都は区市町村に対する都独自の助成を大幅に減らすだけでなく、区市町村が独自に行っている公費からの繰り入れの削減を迫る圧力をかけてきました。
国の悪政から暮らしを守る自治体本来の役割を投げ捨て、国と一緒になって住民を苦しめる「逆立ち都政」を推進してきた自民・公明の重大な責任は免れません。
高い国保料の結果、都内の滞納世帯は2割を超え全国有数になり、“制裁”として行われる保険証取り上げも多発しています。お金がなくて必要な受診ができず、手遅れで命を落とす―。こんな悲劇を引き起こすことは許されません。
社会保障費カットを進める安倍晋三政権は18年度から「国保の都道府県化」を始めようとしています。「都道府県化」は国保への公費支出をさらに削減させることを狙ったものです。その直前の都議選で、国保料引き下げを求める審判を下すとともに、暮らしを最優先で守る確かな議席を増やすことがどうしても必要です。
直ちに1人1万円下げを
日本共産党が都議選で掲げる当面1人1万円の国保料値下げは、都予算の0・5%の使い方を改めれば都の責任で直ちに実現できます。さらなる引き下げにも道がひらけます。日本共産党の勝利で、大型開発優先の都政を住民本位に転換することが急務です。東京で国保や福祉の施策が前進すれば、全国の自治体にも影響し、社会保障は変わります。首都の有権者の判断はいよいよ重要です。
(「しんぶん赤旗」2017年7月1日付より)