志位和夫委員長は3日未明、党本部で行った記者会見で、東京都議選(2日投開票)の結果について次のように表明しました。
一、今回の都議会議員選挙で、日本共産党は現有17議席を確保し、さらに二つの議席を上積みし、19議席を獲得することができました。党として支持した生活者ネットの山内れい子さんも当選しました。
私たちは、この都議選にさいして、「現有17議席を確保し、新たな議席を獲得する」ことを目標にたたかいましたが、この目標を達成することができました。
今度の選挙は、都民ファーストの会という新しい大きなグループが誕生するという点では、なかなか難しい条件のもとでのたたかいでした。
そういう条件のもとで、日本共産党が19議席を獲得したということは、重要な躍進といえると考えます。
この躍進は、4年前の躍進に続くものですが、都議選で2回連続して議席を躍進させたのは、1985年の選挙以来、32年ぶりのことです。
私は、日本共産党候補を支持していただいた都民のみなさん、大奮闘していただいた支持者、後援会員、党員のみなさんに心からの感謝を申し上げたいと思います。
一、今度の選挙で、わが党は、四つの選挙区で新たな議席を獲得しました。2人区では北多摩4区(16年ぶり)、3人区では目黒区(同)、北多摩3区(同)、4人区では町田市で初の議席を得ることができました。
現職区であった文京区と中野区は、惜敗しましたが、それぞれ得票を大きくのばす大健闘・大善戦の結果といえると思います。
2人区、3人区では、いまのべた以外に、北区、北多摩1区、豊島区で現職を守り、合計六つの2人区と3人区で議席を得たということは、今後を展望しても、たいへんに重要な結果だと考えています。
一、選挙戦全体を通じて、私たちは、三つの大争点を訴えて選挙戦をたたかいました。
第一は、国政を私物化し、憲法を壊す安倍自公政権に首都・東京から日本共産党の躍進でレッドカードを突きつけることです。
第二は、築地市場の豊洲移転を中止し、築地市場を未来に向けてしっかり継承していくことです。
第三は、都政のあり方を、巨大開発優先から福祉と暮らし優先に大きく切り替えるということです。
この三つの訴えは、都民のみなさんの共感と支持をえることができたと考えています。
選挙戦で掲げた公約実現のために、広く国民・都民のみなさんの運動と共同し、国政と都政の舞台で大いに力をつくしたいと決意しております。
一、選挙戦全体の結果としては、何といっても自民党が歴史的大敗を喫したことが、大きな特徴となりました。
これは何よりも、「森友」疑惑や「加計」疑惑にみられるような国政の私物化、さらに「共謀罪」法の異常な禁じ手を使っての強行にみられるような憲法を壊す政治、さらに憲法9条改定を持ち出し、それを乱暴に国民に押し付けようとしていることなど、安倍政権の一連のふるまいに、〝もうがまんができない〟〝今度ばかりは安倍政権を懲らしめなければいけない〟という声が、非常に強く都民のみなさんのなかに起こり、その怒りがこういう結果をつくったことは、明らかです。
安倍自公政権は、この結果を深刻に受け止め、これまでの自らのふるまいに対する根本的な反省が必要だということを強く言いたいと思います。
私たちとしては、総選挙に向けて、野党と市民の共闘を大いに発展させるとともに、日本共産党の躍進のためのとりくみを大いにすすめていきます。総選挙では、衆院における「改憲勢力3分の2体制」を打破する、自民党・公明党とその補完勢力を少数に追い込むことをめざして全力をあげる決意です。
一、当面の問題としては、この選挙戦でも訴えてまいりましたが、野党4党が要求している臨時国会の速やかな召集をあらためて強く求めます。臨時国会を開き、一連の疑惑の徹底究明をはじめ、安倍政権の政治姿勢について徹底的に追及していくことが、緊急の国政の課題となっています。
日本共産党が志位和夫委員長が3日未明、党本部でおこなった記者会見での一問一答を紹介します。
勝因は何か――政策的訴えの内容が、実績、候補者の魅力と一体に支持を広げた
――冒頭のコメントで重要な躍進という言い方をされていたんですが、大勝利というふうに受け止めているという理解でよろしいですか。
志位 はい。大きな勝利だと考えております。
――共産党が勝利した要因をもうすこし具体的に伺ってもよろしいでしょうか。
志位 私たちが、今度の選挙で訴えた内容が、都民のみなさんに共感していただけたと考えています。
「国政を私物化し、憲法を壊す安倍自公政権にレッドカードを」という訴えは、選挙戦に入っても政権・与党のなかから新たな問題が次々とおこり、日を追うにしたがって、非常に熱い手ごたえがビンビンと返ってきました。
築地市場の豊洲移転を中止し、「築地ブランド」を将来にわたって引き継いでいくという訴えも、都民にとって最も身近で切実な「食の安全・安心」にかかわる大問題ですので、強い関心と手ごたえを感じました。
そして、都政のあり方を改革する。1メートル1億円の東京外環道にみられるような巨大開発にメスを入れて、福祉と暮らしに大事な税金をつかう。そのことで、国保、保育、介護、奨学金、シルバーパスなど、一連の緊急の願いを実現する道が開けてくる。暮らしの問題も、それぞれが共感を広げたと感じます。
こうした政策的訴えが、共産党都議団の実績、一人ひとりの候補者のみなさんの魅力と一体となって、支持が広がっていったと思います。
首相への嫌悪感――政治姿勢、資質、体質への批判であり、容易に回復できない
――自民党が23議席という結果は、天井が落ちてきたぐらいの衝撃だと思うんですが、これをもたらしたものは三つの争点のうちでみると、委員長がおっしゃっている「友達の友達による友達のための政治」ですか、そういうものに選挙戦の後半で、嫌悪感が爆発したように思うんですが、街頭でどうお感じになられましたか。
志位 安倍政権に対する強い怒りが渦巻いている、噴き出しているというのは、街頭で訴えていても強く感じました。その怒りも、「もう我慢がならない」という怒りもあれば、「今度ばかりは懲らしめたい」という怒りもあれば、「ここはお灸(きゅう)をすえたい」という怒りもあり、いろいろな中身があるように感じましたが、そうしたさまざまな怒りが、一つの流れに合流して、いまの状況をつくっていると思います。
私の実感で言いますと、安倍政権になって秘密保護法を強行し、安保法制=戦争法を強行しました。このときも非常に強い怒りがひろがって、内閣支持率もドンと下がったんですけども、今回は、そうした安倍政権のすすめる政策に対する批判だけではなくて、安倍首相の政治姿勢に対する怒りが深い。国政の私物化、異論に耳を貸さない強権政治、国会答弁にみられる傲慢(ごうまん)と横暴、こういう安倍首相の政治姿勢、資質、体質に対して、強い嫌悪感が広がっている。私は、こうした批判、怒り、嫌悪感というのは、容易に回復することはできないと思います。
私たちは、あらゆる分野で国民の願いにこたえた運動を発展させたい。そして、解散・総選挙においこみ、安倍政権を倒し、自民党政治そのものを終わらせることをめざしていきたいと思います。
野党共闘はどうなる――都議選で広がった「平和と福祉の共同候補」の流れ
――民進党は5議席ということになりまして、共産党19議席とは大差がついた形になったわけですけども、今回の都議選の結果が、今後の国政での野党共闘のありかたにあたえる影響についてはどのようにお考えですか。
志位 民進党の結果について、私がコメントするのは控えたい。これは民進党が分析されることだと思っております。
野党共闘は4党の党首でも、書記局長・幹事長のレベルでも、総選挙にむけた共闘を具体化していくという方針を、くりかえし確認しております。これを大いに進めていきたいと考えております。
それから、今度の都議選で、たいへん心強かったのは、他党の方々からたくさんの応援をいただいたことです。私と並んで訴えていただいた方だけでも、自由党の山本太郎共同代表や渡辺浩一郎都連会長、民進党、社民党、新社会党の区市議会議員のみなさん、二見伸明公明党元副委員長など実に多彩な方々の応援をいただきました。共産党候補を、いわば「平和と福祉の共同候補」として、応援してくださる流れがずいぶん広がりました。心からの感謝を申し上げたい。この都議選のたたかいを通じても、いろいろな共同の流れが着実に広がっていると感じております。ぜひそういう流れを、国政にもつなげていきたいと考えています。
――野党共闘、とくに民進党との関係についてお伺いしたいのですが、都議選で2回連続して共産党のほうが民進党(旧民主党)よりも議席がかなり多いという状況が続く中で、このことが民進党と共産党の国政における選挙協力の力関係にあたえる影響についてはどうお考えでしょうか。
志位 私たちは、国政における選挙協力については、全国的規模で協力のための協議を行うということが方針です。相互推薦・相互支援での協力を追求する。そのさいの基準としては、国政選挙での比例代表の票で案分して、協力を具体化していくということが一番、合理的ではないかと提案しています。もちろん、この都議選の結果も、一つの判断材料にはなると思いますが、基本的には、国政選挙での比例代表の票をもとに、協力を具体化していくということが、私たちの考えです。
女性議員――19人の共産党都議団のうち13人が女性
――37人立候補されて、男性が20人、女性が17人で、女性が13人も当選した。4人しか落ちなかった。山内さんを入れると、当選20人中で14人が女性です。これはどういうふうに評価されるのか。これだけ女性が多いと言うのはおもしろいと思うんですけど。
志位 男性候補もどなたも立派ですよ(笑い)。ただ女性議員がこれだけ活躍しているということは、わが党にとって誇りです。