東京都が、築地市場(中央区)を豊洲新市場(江東区)に移転させた跡地に海外VIP向けの高級ホテルやオフィスビル、国際会議場などを建設する構想をひそかに検討していたことが4日、日本設計に調査委託した報告書で明らかになりました。日本共産党の、あぜ上三和子都議が同日の都議会経済・港湾委員会で、情報開示請求で入手した調査報告書を示して追及しました。
あぜ上氏が明らかにしたのは、日本設計が2014年3月に都に提出した「築地地区まちづくり調査検討業務委託報告書」。再開発のイメージ図も描いています。
三つの開発案のうち「観光・交流」を重視したA案は、複合国際交流拠点として海外VIPが利用するラグジュアリー(最高級)ホテル、超高層ホテル、国際会議場(収容5000人以上)、劇場・ホール(3000席以上)、大規模展示施設(2万平方メートル以上)、オフィスビルなどを配置。事業費は4194億円(用地費を除く)と試算しています。
あぜ上氏は、小池百合子知事が6月20日に、築地市場の豊洲新市場への移転基本方針を公表し、「築地ブランド」は守るとして市場機能を確保するとの発言は、都議会本会議での答弁ではなくなり、「築地の再開発」が強調されていると指摘しました。
あぜ上氏は「知事の方針は日本設計の報告書が下敷きにされているのではないか」と質問。「民間主導の再開発となれば、日本設計が描いているような富裕層の外国人観光客や国際会議施設などの再開発になってしまうのではないか」「再開発で市場の機能が守れるのか」とただしました。
都市整備局の山崎弘人まちづくり推進担当部長は、日本設計の報告書は「庁内関係各局の実務的な検討の場での素材としていた」と説明、「(都が)築地再開発検討会議を設置し、まちづくりの基本方針を検討していく際には、過去に行った委託調査も参考にしていきたい」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2017年9月5日付より)