都議会公営企業決算特別委員会が15日開かれました。同委員会は2016年度の公営企業の予算執行に問題がなかったかを決算審議を通してチェックします。この日、主要5会派の7人が質問し、日本共産党の尾崎あや子都議は、都中央卸売市場の豊洲新市場にかかわる問題についてただしました。
会計の継続性、安全性も
小池百合子知事は昨年8月、
①豊洲新市場の安全性の懸念
②巨額で不透明な事業予算
③情報公開の不足
―の3つの疑問をあげて、築地市場の移転を延期。しかし、何一つ解決を見ないまま今年6月、小池知事は豊洲新市場への移転を表明しました。
築地市場では水産物の取引量がここ20年で半分以下に落ち込むなか、経常損失が2016年度決算では32億円です。
尾崎都議は豊洲新市場に移転しても取引量を引き上げることは見込めず、開場すれば年間100~150億円の赤字になるとの都幹部でつくる「市場あり方戦略会議」の試算を指摘。さらに盛り土がない代わりの追加の汚染対策維持費も加わり、「豊洲新市場を開場すれば、市場会計の継続性が危うくなるのは明らかだ」と強調。市場会計の継続性からも「豊洲新市場への移転ではなく、築地市場の再整備が最適だ」と主張しました。
地下水管理は破綻
尾崎都議はさらに、豊洲新市場の安全性の問題で、土壌の再汚染を防ぐために決定的に重要な地下水管理システムは、破たんしていることを指摘しました。
都はこれまで、地下水管理システムによって豊洲新市場の地下水位を海抜1・8㍍にすることを目標に、昨年10月から本格稼働させています。
尾崎都議は台風による降雨などで水位が5㍍を超えた観測点もあったと指摘。「本格稼働してから1年たっても、海抜1・8㍍のところは1カ所もない」と指摘。都がバキューム車まで出動させて排水しているのは、地下水管理システムの破たんを示すものだとただしました。
村松明典中央卸売市場長は、地下水位が高いことは認める一方、「(システムは)適切に稼働しているものと考えている」と強弁。尾崎都議は、同市場の地下水管理システムが破たんし、雨水浸透抑制施設でもpH12の強アルカリとなっている雨水・汚水の値が正常になる見通しが立たないなど、都の計画が次々と狂っていることを明らかにしました。
尾崎都議は「このような所に、生鮮食品を扱う市場は、ふさわしくない」と批判。水産仲卸や飲食・物販などの関連業者の中から移転反対の声が広がっていることを紹介し、移転中止を強く求めました。