東京都議会第4定例会が1日開会しました。
本会議で所信表明した小池百合子知事は、総選挙で希望の党を立ち上げ、国政進出をもくろんだことに対し都民の批判を受けたことを意識して「多くの皆様にご困惑、ご心配をおかけした」と”謝罪”し、「都政に専念する」としました。
築地市場(中央区)の豊洲新市場(江東区)への移転問題では、都民に約束した「食の安全・安心」に触れないまま、来年10月中旬に移転期日を決めたことや、知事として「安全・安心についての発信」を行うと表明。市場業者の納得も合意も得ずに強引に移転を進める姿勢を示しました。
また、6月に豊洲移転方針を公表した際に言及した「築地は守る」や「築地ブランド」をさらに高めるという言葉は消え、「新たな豊洲ブランド」の確立や「築地再開発」を強調しました。
暮らし・福祉の問題では、来年度からの国民健康保険料の都道府県化に伴い、国保料(税)の大幅値上げにつながる条例案を提出しているにもかかわらず、この問題に一言も触れませんでした。
子育て支援では、「保育サービスの質と量の充実」を行うとし、保育サービスの整備目標の検証などを行うと述べました。
一方で、住民が反対する外環道を含む首都圏3環状道路などの整備に重点的に取り組むと表明しました。
小池都知事「豊洲追加工事 再入札へ急ぐ」
小池知事は1日の定例会見で、築地市場(中央区)の移転先としている豊洲新市場(江東区)の土壌汚染対策追加工事が相次いで入札不調となっている問題について、予定価格(落札額の上限)を引き上げて速やかに再入札を行う意向を明らかにしました。
記者の「入札不調で、来年10月に予定している移転スケジュールに影響は出ないのか」という質問に、小池氏は「(工事の)遅れが生じているのは確かだ」と認め、工事関係者、メーカーへのヒアリングを実施して予定価格の再積算を行っていると述べました。
都は11月27日までに9件の追加工事の入札を行いましたが、7件が入札不調に終わったため、ゼネコンなどから要望を聞き、予定価格の上乗せ作業を進めています。
豊洲新市場用地は、ベンゼンなど有害物質で高濃度汚染されていた東京ガス工場跡地です。
小池知事が、環境基準以下にする「無害化」方針を撤回し来年10月中旬に移転を強行する方針を決めたことに、築地市場業者から移転中止を求める声が湧き上がっています。
「共闘分断理解しているか」大山都議団幹事長が知事所信を批判
日本共産党東京都議団の大山とも子幹事長は、1日開会した都議会での所信表明で小池知事が総選挙で「ご心配をかけた」旨発言したことについて、「自らがやったことの本質を理解しているのか疑問だ」と批判しました。大山都議は、総選挙で知事が憲法違反の安保法制容認、憲法改悪を進める立場を明らかにしたことで野党共闘を分断し、結果的に自民党を利することになったことの重大性を理解しているのかと述べました。
都政の焦点である築地市場(中央区)の豊洲新市場(江東区)への移転問題について、知事が「食の安全・安心」に触れず、「築地ブランド」も「いつの間にか『豊洲ブランド』に変わってしまった」と指摘。
豊洲新市場の土壌汚染の追加対策は効果が検証されていない上に、入札不調で工事契約が9件中2件しか決まってしないことに触れ、「市場業者は移転に納得も合意もしていない。強引に進めることは絶対にあってはならない」と述べました。
大山都議は「都の仕事は住民の暮らし・福祉を守ることであり、『東京の活力向上』を言うなら住んでいる都民に活力がなければいけない」と強調。
知事が国民健康保険料(税)の大幅値上げにつながる条例案について一言も触れなかったのは、「本当に都民の暮らし・福祉を守る気があるのかが問われる」と批判しました。
(12月2日付「しんぶん赤旗」より)