東京都が築地市場(中央区)の移転先とする豊洲新市場(江東区、東京ガス工場跡地)の地下水から9月、環境基準の最大160倍の発がん性物質ベンゼンが検出されたことが25日、わかりました。都の土壌汚染対策後、最大の濃度です。
都が新市場予定地で昨年12月までに行った9回の地下水モニタリング調査で高い濃度が見つかった箇所など29カ所で、毎月行っている地下水質調査について、9~11月の結果を公表したもの。
これによると、ベンゼンが3つの街区にわたる全24カ所の観測井戸のうち、9~11月とも3つの街区全てにわたる17~19カ所で環境基準(水1リットルあたり0.01ミリグラム)を上回る値を検出。最も高い濃度だったのは、青果売場棟のある5街区の観測井戸で、9月下旬に基準の160倍に当たる1.6ミリグラムが検出されました。この井戸は9月に公表した調査(8月実施)でも最高値だった基準の120倍のベンゼンを検出した地点です。
猛毒のシアン(基準は検出されないこと)は井戸全23カ所中、全街区にわたる15~17カ所で検出され、最も濃度が高かったのは、水産仲卸売場棟がある6街区で9月に検出された、検出下限値(1リットルあたり0.1ミリグラム)の15倍に当たる1.5ミリグラムでした。
都は土壌・地下水を環境基準以下にする「無害化」を撤回し、豊洲新市場を来年10月11日に開場することで市場業界団体の代表と合意しました。これに対し、多くの市場業者や科学者から「食の安全・安心が確保できない」「豊洲移転は中止し築地で再整備を」の声があがっています。
(12月26日付「しんぶん赤旗より」)