一方で、まだ71年目の日本国憲法を「時代に合わなくなった」と言い、変えようとしています。
時代に合わなかったのは、日本国憲法に取って代わられた明治憲法の方であったことはお忘れか。
憲法は、空気や水のような存在だと思います。
普段、当たり前にありすぎて意義を感じることは少なく、しかし、なくなれば一大事。
私は昨春、母を病気で亡くしました。
人生で初めて、母のいない新年を迎えました。
うるさいぐらいに心配してくれる優しさや、実家で過ごすなんとも言えない安心感、それらがもう二度と感じられない。
亡くなって初めてわかる寂しさがあります。
ただし、母はいつまでも私の中に息づき、母とつながる人がその存在を語ってくれます。
正月に京都で作った白みそ雑煮は、昨年母に教わりながら仕上げた味に、それなりに近い。
平和や民主主義は、壊されてから想い出に浸るわけにはいきません。
ひとたび崩されれば、取り戻すのは容易でない。
だからこそ70年前、犯した過ちを絶対に繰り返さないと世界に約束した、憲法9条ではなかったか。
9条がある「当たり前」を続けさせる、決して負けないたたかいに、いざ。
(1月7日付「しんぶん赤旗」より)