アスベスト(石綿)被害者の救済活動をしている「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会関東支部」は10日、東京都大田区で講演会と健康被害相談会を開きました。
大田区は、かつて石綿製品を製造していた「宮寺石綿理化工業」「日本スレート工業」などの事業所が多くあり、2015年 までに石綿健康被害救済制度で認定された患者数は41人と都内最多です。
同区で患者の治療にあたってきた東京労災病院の戸島洋一氏(呼吸器内科部長)が講演しました。戸島氏は、アスベスト疾患の一つ、中皮腫について「少ないばく露でも起こり、発症するまでの潜伏期間が長いのが特徴。当分はこの疾患が出てくる可能性は高い」と指摘。
肺がんについても「高濃度のばく露でないと起こらないが、職業的にアスベストに関与した体験のある人は検討が必要」と述べました。
さらに石綿工場のあった場所の情報公開などの必要性を強調しました。
宮寺石綿理化工業の工場内にあった社員寮に住んでいたという女性(79)が発言。母親をアスベスト疾患で亡くし、「親の 苦しみは私の生涯から消えることはありません」と言葉を詰まらせ、「国民の命を守らず企業優先でやってきたのがここま で被害を拡大させた」と国や企業の責任を訴えました。
同支部事務局の飯田勝泰氏は、アスベスト疾患の増加が予測されるとして、大田区に対し、アスベストばく露者のために環境省が実施する試行調査(健康診断)に参加することを求めました。
(2月13日付「しんぶん赤旗」より)