東京外郭環状道路(練馬区~世田谷区間、12㌔)を地下トンネルに計画変更したのに、都がその地上部で建設を計画する幹線道路「外環ノ2」(約9㌔)の一部区間(1㌔)について、国が事業認可したのは違法だとして、練馬区の住民が取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が2月20日、東京高裁でありました。甲斐哲彦裁判長は、昨年3月の東京地裁判決を支持し、住民の控訴を棄却しました。
「外環ノ2」をめぐっては、1966年にいったん都市計画決定されましたが、住民の強い反対運動で70年、国は外環道の本線と共に計画を凍結。その後、都は2007年に外環道を大深度地下構造に変更する都市計画変更を行いました。ところが都は地上部の「外環ノ2」のうち、一部を都市計画道路として国に事業認可申請し、国は12年9月に認可しました。
控訴審で住民は、外環道の地下化に伴い、「外環ノ2」は都市計画の前提を失ったと指摘。さらに「外環ノ2」の整備により、大気汚染など自動車公害が持ち込まれると主張。都の釈明や、さらなる証人調べを求めました。しかし高裁は住民の主張を退け、判決は「住民の意見を聴取した」などとする都の主張を追認しました。
原告弁護団の坂勇一郎弁護士は判決後、都庁で開いた記者会見で「判決の考えでは、都市計画の前提が変わったにもかかわらず、当初の理由と全く別の事業を行えることになる。司法のチェック機能を果たしたとは言えない」と指摘。「問題の多い判決だ」として、上告する意向を示しました。
会見では、原告の住民から「不当判決だ」との発言が相次ぎました。志村直子さんは「本線が地下になる時の説明では地上は緑地になると言っていた。次は道路になると説明する。住民をだますような進め方がおかしい」と批判。藤田淑子さんは「今より住環境が悪化するのは許せない。行政が決めたからやるというのはおかしい」と憤りました。
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原告団は同日、高裁判決を受けて報告集会を練馬区内で開き、「『外環の2』計画が白紙撤回されるまで、さらに引き続き『街を壊すな!』『地域をまもれ!』の声を、あらゆる場面であげ続けてゆく」との決議を採択しました。
決議は判決について、「東京都の対応を事細かに認定し追認する一方、司法としての行政に対するチェック機能を放棄する立場に終始」「司法の本来の機能を投げ捨てるに等しいもの」と厳しく批判。「不当判決に屈することなく、これからも地域住民が永い年月をかけて築きあげてきた豊かな住環境を破壊し、地域のつながりを断ち切る『外環の2』計画に反対する」と表明しています。