豊洲移転 汚染の解決ない移転中止を 都 対策の有効性、示せず

豊洲移転 汚染の解決ない移転中止を 都 対策の有効性、示せず都議会代表質問 共産党・白石都議が追及
 都議会は1日から、小池百合子知事の施政方針に対する、各会派の代表質問と一般質問を行いました。日本共産党からは、代表質問(1日)に白石たみお都議、一般質問(2日)には原のり子、原田あきら両都議が立ちました。(長沢宏幸)
 
 白石都議は都政の重大問題である築地市場の豊洲新市場への移転問題について、質問しました。
 
 小池知事は施政方針で「移転前にさまざまな問題点を洗い出し、しかるべき対策を踏まえた上で開場の運びに至った」と表明。これに対し白石都議は「豊洲新市場のさまざまな問題点があたかも解決したと言わんばかりの、とんでもない発言」だと批判しました。
 
 理由にあげたのが、「食の安全・安心を守る」とした小池知事の公約にも反する、土壌汚染問題の解決に見通しがないままでの移転強行です。都の地下水調査結果では、発がん性のベンゼンが昨年1月で環境基準の79倍、3月100倍、8月120倍、9月160倍、11月は110倍と高濃度の検出が続き、猛毒のシアンも全街区で検出されています。
 
 白石都議は地下水管理システムが稼働しても汚染された地下水の水位が目標を上回り、市場用地の盛り土が地下水に漬かっていると指摘。「盛り土が汚染されていないと根拠をもって明言できるのか」と追及。また、現在行っている追加対策工事が終われば、環境基準を超える有害物質が検出されなくなり、地下水位が目標まで下がる根拠を示すよう求めました。
 
 小池知事は答弁に立たず、村松明典中央卸売市場長は「中長期的には地下水質が改善されていく」と述べるだけで、盛り土の汚染については答えず、追加対策工事の有効性の根拠も示せませんでした。
 
 白石都議はまた、築地の仲卸業者の中に、いまなお豊洲移転について不安や不満を抱いている人が多くいるとし、「仲卸業者の方の納得をしていただいたというような安易な発言はしないでもらいたい」という、厳しい声があがっていると指摘しました。
 
 小池知事は、新市場建設協議会で水産仲卸団体の代表から、そうした発言があったと認めながらも、「引き続き、移転に向けたさまざまな準備を業界と協力して進める」とのべました。
 
 
国保負担軽減
 白石都議は、都民の暮らし向きが苦しくなっているのに、知事の施政方針には「都民に寄り添う視点は見られない」と指摘。2018年度予算案に関連して、切実な都民施策についてただしました。
 
 この問題で最初に取り上げたのが、負担が重すぎる国民健康保険です。都は新年度から区市町村とともに国保の運営主体に加わります。昨年12月に都が定めた国民健康保険運営方針では、区市町村による国保財政への一般会計からの繰り入れをなくしていくよう求めています。
 
 白石都議は、区市町村が都の方針に沿って一般会計からの繰り入れを段階的に解消し、国保料(税)の値上げでその穴埋めをする動きが広がっていると指摘。一般会計からの繰り入れをしなければ、保険料(税)が大幅な負担増になることを示し、国保運営方針を見直すよう求めました。
 
 小池百合子知事は「運営方針は国民健康保険運営協議会に諮問し、審議の結果、適当と認めるとの答申を得たうえで策定した」と答弁し、見直す考えがないとしました。
 
 白石都議はまた、14億円の激変緩和措置にとどめず、子どもの均等割の軽減など、さらなる負担軽減対策が必要だと強調しました。
 
 
高齢者福祉
 年金で暮らす高齢者の重い負担になっているのが、住宅の家賃や介護施設の利用料です。白石都議は石原都政以来の都営住宅の新規建設ゼロ方針は、時代に合わなくなったとのべ、年金生活でも安心して住める都営住宅の計画的増設を提案。
 
 待機者が多い特別養護老人ホームの増設では、居住費の安い多床室の特養ホームへの補助制度の活用促進、拡充などの対策を要求。介護サービス基盤の整備に向けては、都の都有地活用推進本部の取り組みと連携して、高齢者や障害者施設への活用を進めるべきだと求めました。
 
 梶原洋福祉保健局長は、「区市町村が地域のニーズを踏まえて、福祉インフラの整備を進められるよう、都有地の有効活用を図っていく」と答えました。
 
 
待機児童解消
 白石都議は、都が昨年実施した「保育ニーズ実態調査」を元に、保育サービス整備の目標を19年度末までの3年間で6万人分の定員増に引き上げたことは重要だと評価。
 
 一方、共産党都議団の調査で4月から認可保育園への入園を希望した子どものうち、34区市町村で1万8000人が1次選考で入れなかったと指摘。認可・公立保育園の増設を待機児童解消対策の中心に据えるよう求めました。
 
 小池知事は「待機児童解消に向け、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援していく」と答弁しました。
 
 
教育の充実
 白石都議は知事が施政方針で、教育格差に言及したことに関連して、教育の無償化について質問。都立も私立も高校段階での教育無償化に向けて、国に先駆けて都として入学金と教科書代の無償化に踏み出すべきだと主張。給付制の奨学金の拡充も求めました。また、教員の長時間労働を抜本的に改善すべきだとしました。
 
 小池知事は、来年度からスクール・サポート・スタッフや部活動指導員などを導入するとし、「教育委員会と一体となり、教員の長時間労働の改善に取り組んでいく」とのべました。
 
 
雇用対策
 安倍政権のもとで、非正規労働者の割合は昨年度、過去最高の37・5%に達し、同政権発足後、213万人も増加しています。
 
 白石都議は、非正規で働く若者の深刻な実態と正規で働きたいという切実な声を紹介。知事に認識とともに、改革にどう取り組むのかをただしました。
 
 小池知事は「(非正規で)持てる力をいかしきれないことは、社会にとっても大きな損失」とのべ、「誰もが意欲と能力を十分に発揮して働くことができるよう、多面的な非正規雇用対策を展開していく」と答えました。
 
 

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