日本体育協会(日体協)の本部がある岸記念体育会館(東京都渋谷区)の移転建て替えをめぐり、都が森喜朗元首相(元日体協会長) ら自民党政治家の介入を受け、行政をゆがめる異例の優遇をしていた実態が13日、明らかになりました。
都議会予算特別委員会で 日本共産党の曽根はじめ都議が独自入手した都の内部文書を示し、追及しました。
同会館は神宮外苑地区への移転を計画。都は2020年東京五輪のためという口実で、2018年度予算案に現会館敷地の買収や移転補償の経費123億円を計上し、移転先に都有地を提供し、高さ制限を15メートルから80メートルに大幅緩和する異例の支援を行っています。
曽根都議は、都が2011年8月には移転の検討を始めながら、都議会で「2015年12月に日体協が要望を出してから」だったと虚偽答弁を繰り返したことを批判。謝罪を求めました。辺見隆士都技監は虚偽答弁にあたらないが説明に丁寧さを欠いた」と謝罪を拒否しました。
曽根都議は「虚偽答弁をしたのは、森元首相ら政治家と水面下で相談し、意に沿うよう事を進めたのが明らかになるのを恐れたからではないか」と指摘し、政治家の関与を示す記録文書4件を公表。
▽2012年5月15日に森氏が都副知事と面談し、「ここ(神宮外苑)に日体協も移転させるといい」と発言
▽同年2月28日に萩生田光一・現自民党幹事長代行が都技監と面会し、「(移転を)日体協が望んでいるようだ」と発言
したことを紹介し、開示すべき文書を隠し続ける都の異常さを批判しました。
辺見氏は森、萩生田両氏らに面会していた事実を認めざるを得ませんでした。
曽根都議は、森氏らの関与や特定団体優遇の実態を検証するよう小池百合子知事に要求。
小池知事は「情報開示と丁寧な説明を指示している」と答えるにとどまり、改めて検証する考えがないことを明らかにしました。
曽根都議は、公表文書の委員会への提出、森氏らの参考人招致を委員長に要求。理事会で協議することになりま した。
(2018年3月15日付「しんぶん赤旗」より)