2018年第1回定例会を終えて/日本共産党都議団 大山とも子・幹事長の談話

都議選後初の予算議会の今定例会で、わが党は、都議選で躍進した18議席の力を大いに発揮し、市場移転問題をはじめとした小池都政の重大な問題点を厳しくただし、一般会計予算、市場会計予算に対案を示して反対するとともに、都民要求実現のために全力を尽くしました。

1.2018年度一般会計予算、市場会反対計予算に対案示して

①豊洲移転推進の市場会計予算に反対、修正案を提出

1年前、小池知事は、豊洲市場への移転を再検討する姿勢をとっていましたが、昨年7月の都議選直後、「都民の食の安全・安心を守ります」「築地は守る」という都議選での公約を投げ捨てて、移転推進に舵を切りました。

しかし今定例会では、市場移転について、築地市場で働く労働者の合意は得られていないことが明らかになりました。築地の仲卸業者の中に、豊洲移転について不安や不満を抱えている方がいまなお多くいることを、知事は認めました。

豊洲新市場の地下水から、環境基準の最大160倍もの発がん性物質ベンゼンが検出され、猛毒のシアンが全街区で検出されているにもかかわらず、小池知事は、わずか3人のメンバーによる専門家会議が大丈夫だと言っていると繰り返しました。しかし、石原都政以来、一貫して東京都の意を汲んで豊洲市場への移転推進にお墨付きを与えてきた専門家会議に依拠することなど、到底できません。

以上の立場から、わが党は、市場会計予算に反対し、豊洲移転予算を削除して築地市場を守る修正案を提出しました。小池知事が、都民への公約に立ち返り、豊洲市場への移転は中止し、築地を守り現在地での再整備を進めることを強く求めるものです。

②重大な問題点を持つ一般会計予算に反対-その中でも貴重な前進も

<築地市場廃止が前提、石原都政以来の大型開発偏重が継続>

2018年度一般会計予算は、都政最大の焦点である市場移転問題について、重大な公約違反、都民への背信行為が行われるもとで提案されました。わが党の提案や都民要求に応える施策が盛り込まれる一方で、石原都政以来の大型開発偏重の基本構造は変わっていません。

一般会計予算には、築地市場の敷地内に、大型道路の環状2号線を通すための用地取得費100億円が計上されています。築地市場の廃止を前提としたものであり、認めることはできません。

また、1メートル1億円の外かく環状道路建設、住民の反対の声が広がり5件もの裁判が起こされている特定整備路線などの巨額の道路建設が、引き続き推進されています。

<政治家の関与で特定団体を優遇 岸記念体育会館移転の関連予算を計上>

わが党は、日本体育協会(日体協)の本部ビルである岸記念体育会館の移転にかかわる予算の問題点を、厳しくただしました。

予算には、同会館の土地を東京都が買い取り、移転補償費まで日体協に支払う予算123億円が計上されています。都立公園用地にするため立ち退いてもらうので移転補償費を出すとしていますが、そもそも移転したいのは日体協です。その事実をごまかして、あたかも東京都の都合で移転するかのように見せかけるため、何年にもわたる用意周到な手だてがとられてきました。

さらに移転先まで東京都が用意し、規制緩和で大きなビルが建てられるようにしたのです。予算には、移転先の都有地を日体協が買い取る歳入予算70億円が計上されています。日体協は、123億円と70億円の差額の53億円を手に入れ、会館建て替えの悲願を実現できるのです。

わが党の追及で、一連の経緯に、森喜朗元首相など複数の自民党政治家が深く関与していることが明らかになりました。その関与の結果、日体協に特別の優遇がされたのです。

しかも重大な問題は、小池知事は、森元首相など自民党政治家などが関与している内部文書を知りながら、あえて調査対象とせず、幕引きを図ろうとしていることです。

このような都政の闇、ブラックボックスを見過ごすなら、知事の掲げる都政の透明化や都政大改革など、絵に描いた餅だと言わねばなりません。
わが党は、岸記念体育会館にかかわる予算の凍結を求めるとともに、引き続き疑惑の全容解明に向けて全力をあげる決意です。

<国民健康保険料・保険税の軽減を>

都民の切実な問題となっている国民健康保険料・保険税の負担軽減について、東京都の答弁は、きわめて冷たいものでした。

今年4月から国民健康保険の制度が変わり、都道府県も区市町村とともに財政運営の主体となります。
ところが、これを機に東京都が区市町村による一般会計からの繰り入れを解消する方針を示したため、保険料・保険税の値上げでその穴埋めをする動きが広がっています。

わが党は、繰り入れがなくなった場合、最も高い上がり幅の自治体は1.5倍以上の大幅値上げになることを明らかにし、都の方針を撤回して、負担軽減への支援を強化するよう求めました。

知事は、「暮らしに余裕がないと感じている方がいらっしゃることは十分認識している」と答弁しました。それなら都の財政支援で、高すぎる保険料を引き下げる支援に踏み出すべきです。とりわけ区市町村からの要望が強い、低所得者、多子世帯への負担軽減策に取り組むことが必要です。

<施策の貴重な前進も>

一方、来年度予算には、施策の貴重な前進も少なくありません。保育サービス、学童保育、NICU、特別養護老人ホームの整備目標が引き上げられ、なかでも特養ホーム整備費補助が今年度予算に比べ倍増されたことは重要です。待機児童対策、少子高齢社会対策にむけ、さらなる整備促進を求めるものです。

住宅耐震化助成の対象地域拡大、こども食堂への運営費補助の新設、医療的ケアを必要な子どもたちの通学保障の拡充、市町村総合交付金の増額なども、わが党が一貫して求めてきたものです。

本定例会の中でも、多摩地域の周産期医療の充実、聞こえのバリアフリーの取り組み、公衆浴場の活性化、都市農地の保全、豪雨対策の拡充など、重要な答弁がありました。

<予算の組み替えを提案>

わが党は、予算特別委員会に一般会計予算の組み替えを提案し、予算全体の2.9%を見直すだけで、74項目もの都民要求が実現できることを明らかにしました。不要不急の大型開発を見直して、くらし・福祉最優先の予算編成への転換を進めるため、引き続き全力を尽くします。

2.他の会派と共同で2つの条例を提案

①シルバーパス条例の改正案

シルバーパス条例の改正案を生活者ネットと共同で提出。20,510円のパスの費用負担を軽減し、3000円パスなどを発行するとともに、多摩都市モノレールなどに適用を拡大し、都民の切実な要望にこたえるものです。

②都議の期末手当引き下げの条例改正案

都議会議員の期末手当に関する条例案は、かがやけTokyoと生活者ネット、維新の会と共同で提出しました。昨年12月に都職員の勤勉手当に連動して引き上げられた都議会議員の期末手当を、引き上げ以前の額に戻すものです。議員の報酬は、議会が自ら決めるべきものであり、ましてや勤勉手当は議員にふさわしくありません。

しかし、2条例とも、都民ファースト、公明党、自民党などの反対で成立しませんでした。

3.都立病院は直営を堅持して拡充を

東京都が都立病院について、地方独立行政法人化を含めた経営形態の検討方針を示したことは重大です。
独立採算を強調し、都の財政支援を減らすようなことをしたら、不採算医療をはじめとした医療水準が低下し、患者負担が増えることは明らかです。
都が直接責任をもって都民のための医療を確保するため、都立直営を堅持して拡充することこそ必要です。

4.迷惑防止条例改悪に賛成した議員・会派の責任は重大-濫用許さぬたたかいを

迷惑防止条例改定は、国会前や路上で政治家の批判をする、労働組合が会社を批判する宣伝をする、ジャーナリストが取材対象の周辺を調べることなどを繰り返した場合、取り締まりの対象にされる可能性が生じる、きわめて重大な改悪です。
もともとこの条例には、悪意の感情によるものかどうかという内心によって、犯罪かそうでないかが決まる重大な問題点があります。社会的正義のための行為ではなく、悪意の感情によるものかどうかという内心を、警察が証明することなどできません。しかも被害者の告訴なしに、警察の判断だけで逮捕できます。

質疑の中で、「労働運動、市民運動、取材活動は正当な権利行使」だから「本条例の対象外だ」との答弁はありましたが、そのことは条例本文には書いてありません。

このような重大な条例を議会に提出しながら、警視庁は委員会質疑で、今回の改定がなぜ必要なのかという理由、立法事実を、何ら具体的に示すことができませんでした。

法律の専門家や多くの都民から、憲法で保障された言論・表現の自由など市民の権利を侵害するものであり、憲法違反の条例だとの批判の声があがっています。多くの市民、団体から、廃案を求める声が続々と寄せられました。

ところが、日本共産党都議団と生活者ネット、維新の会、立憲民主の西沢議員以外のすべての議員・会派が、これらの声に背を向けて賛成したことは、都議会の歴史に汚点を残すものです。

日本共産党都議団は、濫用を許さず、憲法で保障された権利を守るため、多くの都民の皆さんと力をあわせてたたかうものです。

以上

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