デモや取材活動の規制にもつながりかねないとの不安や反対の声が急速に広がる都迷惑防止条例「改正」案が3月22日、大勢の傍聴者が詰めかける中、都議会警察・消防委員会で可決されました。反対したのは日本共産党の大山とも子都議一人で、都民ファーストの会、自民党、公明党、民進党・立憲民主党は賛成しました。
大山都議は意見開陳で、条例「改正」案について「改正ではなく、都民・国民の権利侵害、集会・結社及び出版その他いっさいの表現の自由、勤労者の団結権など、憲法に保障された権利を侵害することにつながる恐れのある改悪案」だと批判しました。
「改正」案は、現行条例の待ち伏せ、連続電話などの「つきまとい行為」に、「監視していると告げること」「名誉を毀損する事項を告げること」「電子メールやSNSの連続送信」などの行為を新たな規制の対象に加え、罰則も重くします。
警視庁によると、今回の条例改定は、ストーカー規制法を補うことが背景にあるとし、現行条例が恋愛感情以外の「ねたみ」「恨みその他の悪意の感情」を理由にした「つきまとい行為」を規制しているのに加え、今回の改定で「うろつき行為」も、新たに規制対象に加えました。
そのため弁護士などから、集会やデモ、労働組合の宣伝、ジャーナリストの取材活動、インターネットによる政治批判など、市民や団体の正当な活動も規制対象になる可能性が指摘されています。
大山都議は「改正」案の問題点について
▽警察の判断で逮捕・告訴できる
▽処罰の基準は「悪意の感情」という内心で、自白強要につながる
▽条例改定が必要な理由=立法事実がない
─ことを指摘。委員会質疑でも、内心をどう判断するかの質問に警視庁は「個々の事案に応じて、法と証拠に基づいて判断する」としか答弁できず、「警察の恣意(しい)的な判断で犯罪とされ、自白を強要するしか犯罪の立証ができないことになる」と主張しました。
大山都議は、警視庁が労働運動、市民運動、取材活動は正当な権利の行使に基づくもので、条例の対象外との見解を示していることに対し、もともと乱用防止規定が同条例に盛り込まれていること自体、「運用方法次第で、都民の権利を過度に制限する可能性が高いからだ」と指摘。「今回の改定による規制の拡大は、とうてい認められない」と反対しました。
一方、都民ファ、自民、公明、民進・立憲のいずれの会派も、条例の拡大解釈や乱用を戒めるべきなどと求めたものの、「規制対象にはならない」との警視庁答弁があったことを評価し、条例「改正」案に賛成しました。
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委員会での可決を受けて、自由法曹団東京支部の小部正治支部長は3月23日、声明を発表。「正当な理由があるか否かは捜査機関である警察が判断するものであり、依然として乱用の危険はなくなるものではない」と指摘し、撤回を求めました。