森友問題、公文書改ざんなど相次ぐ疑惑の発覚で、内閣総辞職を求める声が広がっています。官邸前では3月30日、市民団体「Stand For Truth」が呼びかけた行動に、1万2千人超が参加。2日には陸上自衛隊イラク派兵の「日報」でも、新たな隠ぺい疑惑が明らかになり、政権への批判がさらに高まっています。
官邸前には、「内閣総辞職この道しかない」、「国民なめるな」など、思い思いのプラカードを持った市民が集まりました。キャンドルライトを手に参加する人も多く、手作りのライトを配る姿もありました。
「証人喚問、昭恵は出てこい」「安倍はやめろ」「説明しろよ」など、あちこちで自発的なコールが起き、参加者が声を張り上げました。初めて参加したという人や、佐川宣寿前国税庁長官の喚問を見て怒り駆けつけた人の姿が目立ちました。
「これまでこうした抗議行動には来たことがなかった」という50歳代の男性は、「今回の問題だけは許せない」と4日間、官邸前に通い続けています。「安倍政権を応援している人たちに、戦前のにおいを感じる。黙っていたらどんどん戦争への道を進められてしまう」と抗議に参加する思いを語りました。
「日本の恥」と、大きく書かれた手作りのプラカードをもって参加した60歳代の女性は、「安倍政権は普段の政治から、うそと欺瞞に満ちている。このまま何もせず許しておくことは、自分の生き方として許せない」と話していました。
各野党の国会議員が駆けつけ、スピーチしました。日本共産党から宮本岳志衆院議員、吉良よし子参院議員が参加。宮本氏は「ますます疑惑は深まった。真相解明には、関係者に証人喚問で真実を語ってもらう必要がある。市民と野党の共闘で政治の流れを変えよう」と訴えました。
佐川喚問 識者の声 8億値引き見過ごせぬ
わたしは歌手であり、主婦でもあります。スーパーに行くと、数十円の差でも気にしながら買い物をしています。そんな中、国民の財産が8億円の値引きで取り引きされていたことを、見過ごすわけにはいきません。
誰が、なぜ? 証人喚問を見て、疑念が深まるやりとりに、更なる究明が必要と、なお一層強く感じました。
国会でこそ疑惑解明を
証人喚問を見ていると、佐川さんは首相や官邸の関与については、明確に否定する一方で、他はすべて「刑事訴追の恐れ」と言って答えない。何を守ろうとしているのか、はっきりして、さらに疑惑は深まったと思います。
改ざん疑惑の真相は、司法が明らかにすればよいことだという人もいますが、なぜこんなことが起きたのかは、国会でこそ明らかにするべきことでしょう。その国会が、安倍政権になってから、質問に答えなくてもかまわない、はぐらかしてもかまわない、となって、昔の権威を失っています。
前川喜平さん(元文部科学次官)のことで、官僚がアメとムチで締め付けられている姿がはっきり見えました。今回の証人喚問にも、同じような姿を感じます。
どんどん、自由にものが言えない世の中になっている。それが本当に嫌です。
深まる権力犯罪の疑惑
佐川元国税庁長官の喚問で、森友問題をめぐる疑惑はいっそう深まりました。
森友問題では、国有地をただ同然で払い下げたという不正と、それをめぐる記録の改ざんの、二つの大きな権力犯罪をめぐる疑惑が重なっています。
安倍首相は、改憲に意欲を示していますが、その憲法の73条に、内閣の職務が列挙してあります。いくつかある職務のうち一番に書かれているのが、「法律を誠実に執行し」という言葉です。
「誠実に」とは、人間の心構え、態度を示す言葉です。そうした心構えについての言葉は、前文などにはありますが、内閣という統治機構をめぐって出てくる条項は、めずらしい。
憲法は内閣に対して、まじめに嘘をつかず、法律に基づいて仕事をしろ、と命令しています。安倍内閣のやっていることは、こうした憲法の規定への違反ではないでしょうか。そんな安倍政権が、憲法改正を発議するなど、とんでもないことです。
政権は世論を気にかけており、私たち市民の日本の民主主義、憲法、立憲主義への責任感が問われています。安倍政権はおかしいと、声を上げ続けましょう。