独立行政法人(独法)が日本企業の海外展開を支援できるようにする「インフラ輸出」促進法が5月25日の参院本会議で、日本共産党以外の各党の賛成で可決・成立しました。
同法は、日本企業による鉄道や水道などの国土交通分野のインフラ輸出を推進するため、独立行政法人に海外業務を追加するもの。
政府は、民間企業だけでは困難なインフラ輸出を、専門技術やノウハウをもつ独法の支援で促進するとしています。
同月24日の参院国交委員会で、質疑と反対討論に立った日本共産党の山添拓議員は、公的機関である独法を特定企業の利益獲得に動員するのは、本来の独法の目的に反すると指摘。
安倍晋三首相の肝いりで、日本政府が受注に向け8億円の調査費を投じている米国へのリニア高速鉄道の輸出を例に、「受注で利益を得るのはJR東海で、できなければ調査費は国民の負担になる。企業の利益のために国民にリスクを押し付けるものだ」と批判しました。
さらに、「独法は国内のインフラ整備を担ってきた国民の財産であり、道路や上下水道管など国内施設の老朽化対策こそ優先すべきだ」と主張。
同法には国内では義務付けられている環境影響評価や住民参加の規定がなく「環境や人権、民主主義への配慮を欠いている」とも指摘しました。
(2018年6月5日付「しんぶん赤旗」より)