所有者不明土地の利用を進める特別措置法案について、参院国土交通委員会は5月31日に参考人質疑を行いました。
同法案は、公共事業を進める際の土地収用の手続きについて、収用委員会による裁決を省略し、都道府県知事の裁定特例を盛り込んでいます。
日本共産党の山添拓議員は「本法案には所有者不明土地の発生を抑制・解消する仕組みは入っていない。公共事業における収容や利用権設定では問題は解消されないが、本来この問題への発生源対応が必要ではないか」と質問。東京財団政策研究所の吉原祥子参考人は「利用権設定は問題の根本的解決にはならない。利用権設定による法的課題も出てくる」と述べました。
山添議員は「憲法29条で保障する財産権は、正当な補償の下で初めて公共のために用いることができる。事業認定における公共目的の設定も、収用裁決における補償の妥当性の担保も重要な手続きだ」として、「所有者不明土地だからと、収用委員会の公開審理手続きを省略すべきではないのではないか」と意見を求めました。
水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之参考人は「所有者不明土地という判断を誰が行うかが重要。現行の土地収用法では収用委員会による公開審理を行い、所有者不明土地について調査が尽くされたかの判断がされるが、都道府県知事に代われば事業者と収容の裁定者が同じになる。第三者による客観性が必要であり、公開審理はなくしてはならない」と述べました。
(2018年6月7日付「しんぶん赤旗」より)