日本共産党東京都議団(曽根はじめ団長、18人)は都議会定例会に、子ども医療費を18歳まで拡大する条例案2件を提出しました。
条例案の意義について和泉なおみ副幹事長に聞きました。(聞き取り・川井亮記者)
23区では独自に上乗せを行い、所得制限も自己負担もないのに対し、財政力が弱い多摩地域と島部の市町村は、その多くで所得制限や自己負担が残っています。
これは子ども医療の「多摩格差」です。
共産党都議団の条例案は、
①多摩・島部の15歳までの医療費助成は制度を条例化し、自己負担と所得制限をなくす
②中学卒業後、18歳までの医療費無料制度を、都内全域で創設する
というものです。
その最大の意義は、子ども医療の「多摩格差」をなくすことです。
23区と多摩・島部との財政力による格差を是正するため、都が補助を行い、都内のどこに住んでいても子どもたちがお金の心配なく等しく医療を受けられるようにしたい。
入院時食事療養費が2015年度までは1食260円だったのに、今年度から1食460円に値上げされました。
1日1,380円、1カ月入院すれば4万1,400円と大変重い負担になります。この負担も軽減します。
東京歯科保険医協会が昨年行った調査でも、中学3年生までの窓口負担を無料化した自治体に比べ、窓口負担が残っている自治体では、歯科検診後の受診率が低くなっている ことを指摘しています。
もう一つは区部も対象に、18歳までの全ての子どもの医療費を無料化するものです。
現在、福島県と鳥取県が18歳までの医療費助成を行っており、静岡県も今年10月から実施する予定です。
区市町村では都内の千代田区、北区(入院のみ)、日の出町、奥多摩町、新島村、神津島村など全国約400自治体が行っています。
子どもの健やかな育成のため、都が18歳まで医療費助成を行う必要があります。
都が首都大学東京と連携して2016年度に行った「子供の生活実態調査」では、医療の受診を抑制した世帯の割合が困窮層ほど高く、受診抑制の理由として、「自己負担金を支払えないと思ったため」と回答した保護者は、小学5年生では1.1%、中学2年生では0.9%だったのに対して、助成がなくなる16~17歳の保護者では2.7%と、高くなっています。
とりわけ、16~17歳の困窮層の保護者では、自己負担金を理由に挙げた保護者が18.8%にのぼりました。
子どもの貧困対策の視点からも、やはり医療費助成の対象年齢を引き上げることが重要だと思います。
都が率先して子ども医療費を無料化することが必要です。
必要になる経費は二つの条例案で計約90億円ですから、都の財政力で十分可能です。
(2018年6月16日付「しんぶん赤旗」より)