日本共産党の山添拓議員が27日の参院本会議で行った加藤勝信厚生労働相問責決議案への賛成討論(要旨)は次の通りです。
「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」。憲法25条の生存権を具体化し、憲法27条に基づく労働基準法が掲げる労働条件の大原則です。厚労大臣は、この大原則に従い労働行政を進める重い職責を負っています。
問責決議案に賛成する第一の理由は、加藤大臣が職責に真っ向から反し、働かせ方大改悪を強引に推し進めようとしていることです。
最大の問題は、24時間働かせ放題の高度プロフェッショナル制度です。
大臣は、高プロに労働者のニーズがあると答弁してきましたが、唯一の根拠とした12人のヒアリングは法案要綱作成後にアリバイ的に行われたと判明しました。
立法の根拠となり得ません。
高プロ創設には、すべての労働組合、過労死遺族など多くの人が反対してきました。
超長時間労働は必ず過労死を増加させるからです。年間104日の休日を与えれば、お盆も正月も関係なく、毎日24時間、合計6,000時間以上働かせることを妨げる規定がありません。
過労死事件では労働時間の認定が高いハードルです。全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は「会社側の協力がない中、遺族が証明しなくてはならない。血のにじむような苦労でたたかわなければならない」と言います。
高プロは、使用者の労働時間の把握義務すらなくします。過労死しても労災も使用者の賠償責任も否定されかねません。
人材派遣会社パソナの会長である竹中平蔵氏は「残業代という補助金を出すのは一般論としておかしい」と暴言を放っています。
高プロは安くたくさん働かせたい経済界の要求です。死ぬまで働けと言わんばかりの法案を通そうとするなど、断じて認められません。
法案はまた、抜け穴と適用除外で骨抜きの残業時間の上限規制を創設するものです。
1カ月100時間、平均80時間もの残業を許容する抜け穴は大問題です。損保大手の三井住友海上は、法改定を見越して年間残業時間を190時間も延長しています。
大臣は、過労死ラインの上限時間に固執しています。これでは過労死はなくせません。残業時間の上限は、大臣告示の月45時間、年360時間を限度とし、例外の例外を認めるべきではありません。加えて、11時間の勤務間インターバルが必要です。
問責決議案に賛成する第二の理由は、法案が、ねつ造と隠ぺいの疑惑にまみれ、審議の前提が崩れているのに、加藤大臣がごまかしの答弁を重ねてきたことです。
法案の出発点とされた労働時間データは、異常値を2割も削除することとなりました。
大臣は「統計として一定の姿になっている」などと開き直りました。高プロについても「働く方の声をいろいろ聞いた」などと立法事実をねつ造し、とうてい許されません。
さらに、野村不動産では4年前の監督で裁量労働制の違法適用を見抜けず、過労自殺が起きました。大臣は、同社への特別指導を好事例としてアピールしました。監督行政への信頼を損なう言動です。
加えて大臣は、「ご飯論法」と呼ばれる意図的な論点ずらしやごまかしの答弁を繰り返し、誠実に答弁する姿勢すらうかがえません。
過労死促進法案を強行しようとすることは、大臣の職責に反し、断じて許されないことを重ねて強調し、賛成討論とします。
(2018年6月28日付「しんぶん赤旗」webサイトより)