「頭にくるのは安倍首相。周りが忖度し、ウソがウソを呼んでいる」。森友・加計疑惑に怒り、共産党へ入党した足立区の海老田博さん(71)。ウソをつくことが大嫌いな生き方を貫いてきた海老田さんにとって、当たり前の“決意”でもありました。15日は共産党創立記念日。都内各地で入党者が相次いでいます。
海老田さんが入党したのは6月末。地元共産党区議らの訪問を受け、二つ返事で応じました。
「抵抗はなかったかって? 全然ない。国民のために一生懸命やっているのは、政党では共産党さん。参加できないときもあるけど、そんな私でもいいというので入りました」
昨年12月、解体業の会社を退職。今年2月から「しんぶん赤旗」(日曜版)を購読したばかり。いきなりの入党です。
ビル解体業一筋
この30年、ビルなどの解体業の仕事一筋。関東一円をエリアに、早朝から夜まで懸命に働いてきました。退職後は一転して暇になり、テレビを見る機会が多くなったと言います。ちょうど、国会論戦で森友・加計疑惑が再燃したころでした。
「官僚のウソが、なんでまかり通るのか。安倍さんが、本当のことを言えば解決すること。一国の首相なのに、聞くに堪えないね。こんな政権、珍しいよ」
怒りが沸々と湧いてくるのか、話はとどまる所を知りません。特別の支持政党を持たなかったと言う海老田さん。本質を鋭く追及する共産党議員の質問に
「突っ込みがすばらしい。損得抜きの議論。政党では一番まともだ」と思いました。
共産党の追及に苦虫をかみつぶしたような横柄な態度で答弁する麻生副首相など、「見るに堪えない。最悪だ」と思いました。こんなウソつき政治でいいわけがない、日本はどうなるんだ…。海老田さんは、国の行く末を“わが事”と感じるようになりました。
「力合わせ、未来をひらきましょう」。そんなときの入党呼びかけ。応じた海老田さんにとっては、自然の成り行きでした。
一生懸命の人生
解体業は「天職だ」と言う海老田さん。ビルなどを解体する現場で、主力となる重機のオペレーター(運転手)を務めるようになりました。解体の工程を自分で考え、事故が起こらないよう細心の注意を払わなければなりません。
“決して力を抜かない”“工期を守る”ことを徹底する海老田さんの仕事ぶりは、周りから信頼を集めました。
「ミスしたらウソをつかず認めて謝る。みんなに迷惑をかけ大事故になるかもしれない。安倍さんのように平気でウソをつき誤りを認めないなんて、まっとうな人のすることじゃない」
9条改憲は海外で戦争をできるようにすることがねらい。福島原発事故が解決していないのに原発再稼働、海外輸出。核兵器禁止条約に賛成しない日本政府の態度…。「何を考えているんだ! バカなことをやっているんじゃない」。厳しい言葉が口をついて出ます。
海老田さんの考えは共産党の主張そのものでした。「共産党は、オレたちの考えていることと同じだ。“共産党を変な目で見る”なんていうのは偏見ですよ」
2度の手術経て
埼玉県草加市で生まれ。高卒後、自動車販売・修理工場に勤め、会社立ち上げ、スナック経営など職を点々としました。そして巡り合ったのが解体業。そこで仕事の楽しさを初めて知りました。筋を通し、一生懸命生きてきた人生です。
退職間際の昨年6月、肺気腫になり手術。12月には肝腺ガンで肝臓を半分切除しました。2度の手術にも弱気は少しも見せません。
「残念なことは、共産党の議席が少ないことです。質問時間が短い。もう少し共産党議員を増やさなきゃ」
(松浦賢三)