日本環境学会元会長 畑明郎さん
追加対策の効果には非常に疑問があります。地下空間床面のコンクリートは時間がたてばひび割れるし、目に見えないひび割れからもガスが侵入します。
地下水からは環境基準の170倍のベンゼンが検出されました。
都は土壌も地下水も環境基準以下にすると約束してきましたが、失敗しました。その責任をとるべきです。
地下水の水位も3分の1の地点で目標の海抜1.8メートルを達成できていません。
「ウェルポイント工法」による揚水の効果は限定的、一時的なもので、観測井戸の水位が用地全体の水位を反映しているとは言えません。
豊洲新市場は地下空間の換気、コンクリート、地下水位・水質などを半永久的に管理し続けなければならない場所であり、こんなところに都民の食を扱う市場を移すべきではありません。
建築エコノミスト 森山高至さん
小池知事は「安全・安心な市場として開場する条件が整った」などと述べましたが、豊洲新市場の現況を正しくご理解いただけていないと思います。
豊洲新市場は、実際に開場したとしても、水産卸と仲卸が分断されているなどの物流の動線の問題、仲卸業者の店舗の間口が狭すぎる問題など、未解決の問題がいくつもあります。
10月11日という開場日に対して、移転準備が間に合っていません。
都の担当局は甘く考えているのではないでしょうか。問題点をきちんと把握して知事に伝えているのかどうかも疑問です。
少なくとも東京五輪後まで開場を延期して、問題の具体的な対策をとる時間をつくるべきです。
日本消費者連盟事務局長 纐纈(こうけつ)美千世さん
小池知事が豊洲新市場の「安全宣言」をしたことに、食の安全をどう考えているのかと怒りでいっぱいです。
豊洲新市場の地下水汚染は止まっていないだけでなく、最新の調査では土壌汚染対策後で最高の環境基準の170倍のベンゼンが検出されています。
東京都はこれまで、土壌も地下水も「無害化」すると約束していました。
それを、達成できていないからと撤回し、汚染を取り除かないまま、コンクリートでふたをして、うわべだけ「安全」を取り繕うのは、都民に対する重大な裏切りです。
小池知事は豊洲移転について「いったん立ち止まって考える」と公約し、「築地は守る」とも言っていました。
それが今回、「豊洲市場は安全」に変わってしまった。知事の言葉は軽すぎるし、あまりにも無責任です。食の安全を守る気がないと考えざるを得ません。
共産党都議団 大山幹事長が談話
日本共産党東京都議団の大山とも子幹事長は1日、小池百合子都知事が豊洲新市場の「安全宣言」を行い、農水相に開場の認可申請を行ったことについて、撤回を求める談話を発表しました。
談話は、7月30日に発表された同市場の地下水調査で環境基準の170倍のベンゼンが検出されたこと、地下水位を海抜2メートル以下に抑えるという目標も達成できていないことに触れ、小池知事が「安全宣言」の根拠とした同日の専門家会議の報告書は「東京都が望む結論を、いかにも科学的な装いでまとめたものと言わねばならない」と批判しています。
専門家会議は昨年6月11日を最後に開かれず、報告書をまとめた経過もブラックボックスだとし、報告書が都民にも都議会にも報告されていないのは「とうてい公開の場で議論し、都民、都議会に正々堂々と説明できないものである」からだと指摘。
情報公開を進めるという知事の公約も厳しく問われると述べています。
「食の安全・安心」は中央卸売市場にとって最優先とすべきものであり、「事実の裏づけのない偽りの『安全宣言』で『食の安全・安心』を確保することはできません」と強調。
安全宣言と認可申請を撤回することを厳しく求めています。
(2018年8月2日付「しんぶん赤旗」より)