都教育委員会による「君が代」強制を追認する不当な最高裁判決が出ました。入学式や卒業式の「君が代」斉唱の際、起立して歌わなかったとして処分を受けたことを唯一の理由に、東京・都教委が2007年から09年の再雇用を拒否したのは裁量権の逸脱・濫用に当たり違法として、都立高校教員22人が訴えた裁判。最高裁は、都教委の裁量権を逸脱・濫用して違法なものとした1、2審判決を全面的に棄却し、原告側の敗訴を言い渡しました。
根拠示さず司法の使命放棄
判決は理由について、再雇用は定年などで一旦退職した職員を新たに採用するもので、希望者全員を再雇用する定めはなく、合否を判断するのは都教委の「裁量権に委ねられている」というもの。当時の再雇用制度の下で「合理性を欠くものであったということはできない」としましたが、その根拠を何一つ示しませんでした。判決文(A4判大7ページ)の大半が訴訟の経緯で、今回の判断についてのべた部分はわずか1ページ半です。
原告代表の泉健二さん(71)は、「君が代」強制に従わない教職員を処分し、職場から排除しようという都教委に対し、2009年に提訴し9年近くたたかってきたことを強調。1、2審で違法と断じた判決を翻した根拠も示さない判決に、「最高裁はどこを向いているのか。言葉にできないほどの憤りを感じている」と批判しました。
原告・弁護団声明は「行政の主張に無批判に追随する判決内容であり、司法権の使命を放棄した判決と言わざるを得ない」とのべています。