東京都が都民や市場関係者の疑問を押し切って、築地市場(中央区)の豊洲新市場(江東区、東京ガス工場跡地)への移転を10月に強行しようとしているのに対し28日、豊洲移転と食の安全・安心について考える学習会が都内で開かれ、100人余が参加しました。日本消費者連盟が主催。
纐纈(こうけつ)美千世・同連盟事務局長は「豊洲移転で食の安全・安心が本当に守れるのか、今こそ改めて問い直したい」とあいさつ。講演した中澤誠・全労連東京中央市場労働組合委員長は「豊洲新市場には、交通が不便、床の耐荷重不足など問題が山積している。仲卸業者らの質問にもまともに答えず、10月移転を強行するのは極めて乱暴だ。築地市場を絶対壊してはいけない」と訴えました。
本間慎・元フェリス女学院大学学長は「環境基準の4万3,000倍のベンゼンが検出された現実を直視するならば、移転中止を求めるのが科学者の取るべき態度だ」と、移転を追認した都の専門家会議を批判しました。
会場の参加者が相次ぎ発言。築地仲卸業者でつくる「築地女将さん会」の山口タイ会長は「豊洲はうそと隠ぺいとごまかしでできた市場。どんなことがあっても築地を守りたい」と語りました。
池上幸江・大妻女子大学名誉教授、宇都宮健児・日弁連元会長、日本共産党の、あぜ上三和子都議も発言しました。
(2018年8月29日付「しんぶん赤旗」より)
「豊洲新市場は床の耐荷重が不足し、築地で使っているフォークリフトが使えないなど、問題が山積。市場関係者が何度も都に公開質問しているのに、都は一切回答しないまま10月移転を強行しようとしている」と批判しました。
新市場の土壌汚染問題について報告した地質学者の本間慎・元フェリス女学院大学学長は「1970年に都内の水田のカドミウム汚染が発覚した際、美濃部革新都政が私たちとともに被害者の立場で解決にあたった」と紹介。
豊洲新市場用地では環境基準の4万3000倍のベンゼンや猛毒の シアンが検出されたにもかかわらず、専門家会議が都にずさんな追加対策を提案し、小池百合子知事の「安全宣言」を誘導したことを批判。
「豊洲新市場の現実を直視するならば、移転は百年の悔いを残す」と指摘しました。
参加者が活発に質疑応答や意見表明を行いました。
「日本の伝統食を考える会」会員の栗原澄子さんは、「豊洲移転はおかしいと1カ月で約5000人分の署名を集めた。移転にはたくさんの問題があるのに、小池知事はどうして目をつぶって移転しようとするの か。(移転計画は)撤退すべきだ」と発言。
中央区の田辺七郎さんは「この8年間毎月、築地市場前の交差点で移転反対と現在地再整備を求める署名に取り組み、全国各地や外国からの観光客から、反応が寄せられる」と紹介しました。
池上幸江・大妻女子大学名誉教授は都の専門家会議が3人しかいないことに触れ、私も国や都の専門委員を務めてきたが、十数人から20人ぐらい委員がいるのが普通だ。(専門家会議は)なんていい加減なやり方をしてきたのか」と発言。
三国英実・広島大学名誉教授は「卸売市場は零細業者を守る仕組みをつくり、消費者の食生活を支えてきた。卸売市場法改悪と豊洲移転は、これを壊すものだ」と述べました。
築地女将さん会の山口タイ会長とともに発言した新井眞沙子さんは「築地は卸・仲卸・茶屋とスピーディーに行き来できるのに、豊洲はあまりに広くて時間がかかる。なぜ移転しなければならないのか」と訴えました。
日本共産党の あぜ上三和子都議は「小池知事は築地は守る。食の安全を守る」と言っていたのに、まともに資料も出さず、10月移転ありきで批判を抑え込もうとしているのは許せない」と語りました。
(2018年8月31付「しんぶん赤旗」より)