農林水産省は10日、東京都が築地市場(中央区)の移転先とする豊洲新市場(江東区、東京ガス工場跡地)の開場を認可し、都中央卸売市場の村松明典市場長に斎藤健農水相の認可書を交付しました。
農水省は同日、食料・農業・農村政策審議会の食料産業部会を開き、中央卸売市場整備計画の変更を適当と答申していました。
都は、市場業者の合意も得ないまま、10月11日に豊洲新市場を開場するとしています。
しかし、地下水からは依然、環境基準の170倍のベンゼンを検出。
市場業者でつくる「築地女将さん会」、築地市場営業権組合、日本消費者連盟、共産党都議団などは、都に認可申請取り下げを求めていました。
日本共産党東京都議団の大山とも子幹事長は10日、農水相が多くの反対の声を無視して、都に豊洲新市場認可書を交付したことに、「怒りをもって断固抗議する」との談話を発表しました。談話の要旨を紹介します。
第一に、豊洲市場は東京ガス工場跡地であり、深刻な土壌汚染が今なお残っており、市場として最もふさわしくないところです。
都は土壌も地下水も環境基準以下にするという約束で移転を行うとしていましたが、小池百合子知事はこの約束を反故にしました。
土壌汚染対策後も、直近の地下水調査でこれまでで一番高い環境基準の170倍のベンゼンが検出され、環境基準で出てはならないシアンも検出されています。
土壌汚染対策の追加工事について、専門家会議が有効性を確認したことを知事は「安全宣言」の根拠にしていますが、正式な専門家会議は開いておらず、専門家会議以外の科学者・研究者のクロスチェックもしていません。
第二に、卸売市場法は「36条第一項に規定する売買参加者その他の利害関係者の意見を聞かなければならない」としています。
しかし、都は、卸売市場審議会や都の業界団体で構成される新市場協議会で意見聴取をしただけです。
消費者や業界・市場関係者、世界一といわれる築地ブランドを育んできた要の仲卸業者のなかには、多くの反対の声が続いています。
第三に、豊洲市場の事業計画の取扱量見込みは過大です。
また、開場すれば年間100億円を超える赤字になり、市場会計の継続性が担保される保障がありません。
共産党都議団は、食の安全を守り、消費者も市場業者も安心して利用できる中央卸売市場のために、移転を中止し、築地を守るよう強く求めます。
(2018年9月11日付「しんぶん赤旗」より)