東京都品川区長選(30日投開票)では、騒音や落下物の危険を持ち込む羽田空港の低空飛行計画を容認し、23区最低水準の福祉の現区政を続けるのか、区民と野党共同の力で品川の空を守り、福祉充実を進めるのか--という対決軸が鮮明になっています。
品川区政の大問題となっているのが、羽田空港の新ルート問題。同空港の離着陸ルートを海上から都心上空に変更することで、区内の上空200~300メートルを1時間に44本もの飛行機が飛行する計画です。
区民からは「騒音や落下物の危険で、区民の生活が脅かされる」と不安の声があがっています。
浜野健区長(71)=自民党、公明党推薦=は区議会で「了承していない」と答弁する一方、 実は国土交通省に対して「国策なら甘受する」「理解」と表明していました。
浜野氏は23日の告示第一声で、この大問題に一言も触れず。
自民党の石原宏高衆院議員は「その一つの問題が解決したら、区民の生活はよくなるのか」と居直り、公明党の伊藤興一都議は「反対ばかりしていたら対立しか生まれない」と弁解しました。
これに対して、さとう裕彦候補(60)=無所属新、日本共産党、立憲民主党、自由党、都民ファーストの会推薦=は告示第一声で「低空飛行計画は区民にまったく利益がない。安全・安心のためには撤回しかない。関係区と連携して、国と都に撤回を求める」と毅然と訴えました。
品川区は特別養護老人ホームの整備率が23区で17位、介護老人保健施設の整備率が21位、障害者作業所の整備率も23区最低水準です。
貧困と格差が拡大する中で、国民健康保険料の滞納者が2割になっていますが、品川区は滞納者への差し押さえが23区で2位という過酷さです。
さとう氏は、コミュニティバスの実現や、区民が安心して受診できる区立病院の開設、学校給食の無償化、公契約条例と中小企業振興条例をつくることを公約。
「今までの区政が手をつけてこなかった施策に、一つ一つ着実に取り組む」と強調しています。
区民の暮らし、福祉を応援する豊かな政策を訴えるさとう氏に、区民から大きな期待が寄せられています。
一方、浜野氏は選挙直前になって「羽田の空路変更に対しては何よりも区民の安全・安心を優先」「コミュニティバス導入」「公契約条例制定に向けた検討」など公約をあわてて修正。
ところが告示第一声では品川音頭や女性歌手の話題に触れただけで、公約については一言も語りませんでした。
さとう氏は広範な政党や区民団体の支援を受けていることを紹介し、「右も左もいるからまっすぐ行くことができる」(第一声)と強調しました。
今年6月、区民と野党の共闘勢力が推す区長が誕生した中野区では、区民の願いに添って区政が変わり始めています。
さとう氏の応援演説に立った共産党の白石たみお都議は「保守も革新も一つにまとまって、区民の暮らしや命をおびやかす低空飛行計画を撤回させよう」(23日)と呼びかけ、立憲民主党の長妻昭都連会長も「品川区でも、さとう区長誕生に一丸となって取り組む」(同)と表明しました。
(2018年9月26日付「しんぶん赤旗」より)