建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み健康被害を受けた元労働者や遺族が国に求めている補償基金制度の設立をめざし野党合同ヒアリングが3日、国会内で開かれました。
厚生労働省と経済産業省、国土交通省、環境省の担当者らが出席。建設アスベスト訴訟の原告(遺族を含む)、弁護団も参加しました。日本共産党からは高橋千鶴子、宮本岳志、宮本徹の各衆院議員、倉林明子、仁比聡平、山添拓、武田良介の各参院議員が出席しました。
同訴訟は全国12件で進行し、700人を超す原告のうち7割がすでに死亡しており、急がれること、国の責任は原告が10連勝、うち高裁でも4連勝していることから裁判によらない基金制度の創設を求めています。
厚労省はこの間の労災認定の状況から今後もしばらくの間、毎年1000人前後の労災認定はあるという認識を示しました。
被害者に対し悔やみと見舞いの言葉を述べつつ、「最高裁の判断を待ちたい」と答えました。
また、石綿建材メーカーだけでも248社ある中、実際に現行の救済法の基金に拠出しているのは4社に過ぎません。
山添議員は「国だけでなく、企業も責任を分担すべきだ」と述べ、原告からは「交渉の中で国の指導があれば検討するとメーカーは答えている」との指摘が出され、各省庁も検討するよう求めました。
一人親方について、実態として労働者性がある場合、労災加入を厚労省が求めていると説明したのに対し、高橋議員は「労働者性を認めているのに、一人親方が救済されないのはおかしい」と発言、立憲民主の初鹿明博議員がその趣旨を理解するかと迫り、厚労省も「理解はする」と述べました。
ハウスクリーニング業に従事し、肺がんを患った原告の女性は「この4年間で2人の原告団長が亡くなった。こんなに苦しい裁判をしなくても解決できるよう、補償基金制度の設立をお願いしたい」と訴えました。
仁比議員は「労災の認定までに既に大変な苦労をしている被害者を、さらに裁判に10年も縛りつける。被害者に深刻な負担を強いている認識はあるのか」と批判しました。
厚労省の担当者は、被害者に負担を強いていること、裁判が長くなっていること、病状の進行が早いことを認識しているとしました。
(2018年10月4日付「しんぶん赤旗」より)