米軍横田基地で、降下訓練中の兵士のメーンパラシュートが開かず、切り離されて降下する事故が、8日、9日と連続で起きました。一歩間違えば重大事故につながるものです。横田基地では、パラシュート降下訓練中の事故が相次いでおり、不安が広がっています。 (荒金哲)
住宅密集地で訓練するな
8日の事故は、基地を監視する羽村平和委員会メンバーが目撃し、発覚しました。午前10時半頃、C130輸送機から8人の兵士が降下した際、一人のパラシュートが開きませんでした。米軍の説明によると、メーンパラシュートが開かなかったため切り離し、十分開かないまま降下しました。兵士は予備パラシュートで着地したといいます。
事故が起きたにもかかわらず、米軍は8日夕方にも降下訓練をしたことが目撃されています。
市民で作る「横田基地の撤去を求める西多摩の会」は9日午前、防衛省の横田防衛事務所を訪ね、横田基地での降下訓練を直ちに中止するよう要請書を提出しました。しかし、要請と同時刻の午前9時頃、8日と同様の事故が起きました。
9日の事故では、予備パラシュートが入っていたデプロイメントバッグと呼ばれる収納袋が、どこに落下したか不明です。基地の外に落ちた可能性もあります。
横田基地周辺自治体の一つ、福生市の奥富喜一市議(共産党)は、「今回はパラシュートが幸運にも基地内に降りたが、電線に触れたり車が行きかう道路に降りていたら、人命や住民生活にかかわる重大事故になっていた。行方不明の収納袋が、こうした事態を起こした可能性もあった」と指摘します。
中学校への落下も
横田基地でのパラシュート降下訓練は2012年1月に初めて行われました。貨物がパラシュートから外れて落下したり、周辺の中学校敷地に部品が落下する事故が相次いで起きています(表)。
2日連続の事故を受けて日本共産党都議団は9日、都に訓練中止を求めるよう申し入れました。また、10日には国会議員、都議、地方議員らが防衛省に要請しました。
防衛省要請の参加者は、繰り返される事故について「降下訓練では、一定の確率で事故が起こるということだ。住宅密集地の横田での訓練は中止するべきだ」と求めました。防衛省側は、訓練は必要と繰り返しました。
米軍は11日、今回の訓練で使ったパラシュートを一時使用停止にする一方、別のパラシュートを使った訓練を14日から17日の日程で再開すると明らかにしました。
都と横田基地周辺自治体でつくる連絡協議会は11日、原因究明も十分でないままの訓練再開は「きわめて遺憾」という強い表現で、安全対策などを申し入れました。
相次ぐ横田基地周辺や、所属機による落下傘事故
2017年11月15日 物資投下訓練中に、30㌔㌘の貨物がパラシュートから外れ、横田基地内に落下
2018年4月10日 羽村市内の中学校敷地に、パラシュートの誘導傘が落下
2018年12月19日 横田基地所属のC130輸送機が、山梨県東富士演習場で訓練中、パラシュートを施設外に落下
2019年1月8日 降下訓練中にメーンパラシュートが開かず、切り離して降下。兵士は予備パラシュートで降下
2019年1月9日 降下訓練中にメーンパラシュートが開かず、切り離して降下。兵士は予備パラシュートで降下。デプロイメントバッグ(袋)が行方不明に