東京都は2015年3月末に閉鎖された国立の大型児童館「こどもの城」(渋谷区)の建物と土地を購入(約600億円)して、都民のために活用する方向で検討を進めています。 (長沢宏幸)
「声聞いて検討を」
昨年9月、小池百合子知事は旧「こどもの城」を都として複合型の公共施設として整備する方針を示しました。
12月の都議会では、日本共産党都議団の尾崎あや子都議が代表質問で、「都が購入して活用することに賛成です」と表明。先駆的な遊びのプログラム開発など、「こどもの城」が果たしてきた役割を踏まえた対応を求めました。
また、かつて近くに東京都児童館があり、子どもと親の安心の遊び場、児童演劇などの良質な子どもの文化の発信拠点、区市町村の児童館職員を育成する場として、貴重な役割を果たしていたにもかかわらず、石原慎太郎知事(当時)が、「こどもの城」が近くにあることを理由の一つとして、同館を廃止したことを指摘。
かつて東京都児童館が果たしていた役割を取り戻すことを含め、子ども支援の機能を重視するように提案しました。
さらに、多くの若者が集まる地の利を生かした若者支援機能、隣にある東京都ウイメンズプラザと連携した女性支援機能についても合わせて検討し、子どもや若者、演劇関係者などの声を聞いて検討を進めることを求めました。
小池知事は「子どもはもちろん、男性も女性も、高齢者も障害者も、誰もが利用できる都民の城として、より具体的な利用形態を早期にお示ししていきたい」と答弁。その上で「従前こどもの城などが担ってきた子育ての機能、そしてまた、演劇関係者などにも留意しながら検討を進めていく」との前向きな考えを表明しました。
自民「納得できない」
一方、都議会自民党は、山崎一輝都議の代表質問で、「都民のことを本当に考えての行動なのか、到底納得できない」と批判。都議会閉会日の吉原修幹事長の談話では、「あいまいなコンセプトを並べ立てるばかりで、具体的な使途が不明確」だと批判しました。しかし、自民党から具体的な使途についての提案はありませんでした。
公明党は橘正剛都議の代表質問で、旧「こどもの城」に隣接する旧青山病院や国連大学など3つの都有地をあげた上で、「より中長期的な視点に立って、旧こどもの城建物の具体的な利活用方策と将来の周辺都有地を含めた一体的な活用の構想を明確にしていくことが取得に向けた必須条件」だとのべ、賛成条件を、小池知事に突きつけた形です。
都議会与党の都民ファーストの会は、「こどもの城」について、代表質問で触れませんでした。