東京都がカジノを含む統合型リゾート(IR)について、カジノの制度構築を着実に行い、地方自治体に対して早期に適切な情報提供を行うよう国に提案・要求していたことが15日までにわかりました。
都港湾局と産業労働局が1月11日に、内閣官房に要望書を提出しました。都はこれまでカジノ誘致には慎重姿勢でしたが、都関係者は「カジノ誘致については実務的に調査を進めている。手を挙げるかどうかは、小池(百合子)知事の判断次第だ」と語っています。
提案書はまた「IRは、世界水準のエンターテイメントとして、日本の経済成長や観光振興を後押しすることが期待される一方で、ギャンブル等依存症、青少年育成への悪影響、マネーロンダリング等の懸念の声もある」とし、社会的影響に対して万全な対策を講じるよう求めています。
東京都は石原慎太郎氏が知事だった2003年、国に「観光資源としてのカジノ実現のための法整備」を要望。
後任の猪瀬直樹知事は2013年に統合型リゾート(IR)の整備推進、舛添要一知事と小池知事は2014年から2017年にかけて、IRに必要な法整備等の確実な実施を、国に要望しています。
安倍政権が強行したカジノ実施法(2018年7月)を受けて、都が1月に提出した要望は、それまでの主張より一歩踏み込んだ内容です。
国はカジノ実施法をもとに3カ所整備する方針で、地方自治体にカジノ誘致を募っています。
7月にカジノ管理委員会を設置、夏ごろに基本方針を発表する予定といわれます。
国のカジノ推進本部が昨年実施した自治体への意向調査では、誘致申請の意向を示したのは大阪府・市、和歌山県、長崎県だけ。
東京都、北海道、千葉市、横浜市、川崎市は検討中と回答しています。
都港湾局は2014年度以降、毎年IRに関する調査を民間会社に委託。2017年度までは海外のカジノ調査が主でしたが、2018年度は都内誘致を想定した調査を委託し、3月に報告書を受け取る予定です。
石原元知事は2002年度予算にカジノ調査費を計上し、2002年10月に950万円を注ぎ込んで都庁展望室でカジノイベント(2日間)の開催を強行。
日本共産党都議団、日本消費者連盟、東京都教職員組合や女性団体などがカジノ反対を都に要求。
都民の批判の高まりに、石原都政のカジノ構想は立ち消えになった経緯があります。(岡部裕三記者)
(2019年2月16日付「しんぶん赤旗」より)