都議会は6日の本会議で、築地市場跡地(中央区)を都の市場会計から一般会計に売却(有償所管換え)する2018年度補正予算案を賛成多数で可決しました。採決は日本共産党の提案を受けて、各都議の投票結果が議事録に残る記名投票で行われました。都民ファースト、公明党、東京みらいの3会派の賛成多数で可決したものの、反対票は共産党、自民党など3会派4割に上りました(一覧)。
築地売却 補正予算を可決反対票が4割、50人
採決に先立ち行われた討論では、共産党から立った尾崎あや子都議が、小池知事との一問一答の質疑を通じて「築地は守る」「市場機能の確保」の公約への違反が明らかになったと指摘。それなのに知事は「大きな方向性は変わっていない」というごまかしと居直りを続けていると厳しく批判しました。
さらに水産仲卸業者でつくる「築地女将さん会」の「知事にだまされた」という訴えを紹介し、「築地ブランドをつくり守ってきた人たちが『裏切られた』と怒りの声を上げている。都民と市場関係者に謝罪し、公約を守るべきだ」と訴えました。
尾崎都議は築地跡地が一般会計に移管されるのは数年後だとし、「売却を補正予算で急いで決める必要は全くない」と強調。跡地の再開発は仲卸業者、築地場外市場、都民の意見を聞き、多くの都民が納得できる計画にすべきだと主張しました。
自民党の清水孝治都議は「補正予算案に計上するのは、十分な審議を免れようとする姑息な手段だ」と批判。一方、都民ファーストの会は「審議は尽くされた」などと知事を擁護しました。
本会議ではほかに年約1737万円の議員報酬20%削減を来年度も継続する条例案などが可決されました。
都知事は公約実行を 大山とも子幹事長が談話
日本共産党都議団の大山とも子幹事長は6日、都議会本会議で築地市場跡地を一般会計に売却する補正予算の可決を受け、「小池百合子知事は公約違反を謝罪し、『築地を守る』の公約実行を」との談話を発表しました。
談話は補正予算案に賛成したのは3会派だけで、6会派50人が反対したことについて、「補正予算と小池知事の姿勢がいかに道理のないものだったかを、はっきり表している」と強調。
予算審議をめぐっては、公明党と都民ファーストの会が強引な議会運営を繰り返し、長時間の空転が続くという前代未聞の事態が起きました。
談話は、こうした中、共産党都議団が知事との一問一答による審議を行うよう提案したこと、6会派共同による議長への申し入れが大きな力となって、経済・港湾委員会での一問一答が実現したと指摘。一方、審議は1日だけに限られ、「十分な審議が行われたとは言えない」としています。
談話はさらに、一連の審議を通じて、「知事の公約への態度、責任が厳しく問われるものであり、知事自身が誠実に答えるべきであることが、浮彫になった」と強調。
女将さん会が各会派に提出した要望書で「知事にだまされた」という怒りの声を紹介。「小池知事は都民と市場関係者に謝罪し、『築地は守る』という公約を守るべきだ」とし、知事の公約違反問題を徹底追及していくとしています。