13年に及んだ築地市場(中央区)の移転反対運動を総括し、国民のための卸売市場を目指す新たな運動をスタートさせようと23日、築地女将さん会と「守ろう!築地市場パレード実行委員会」が報告集会を豊洲市場内(江東区)の講堂で開き、開場いっぱいの130人が参加しました。
集会では築地女将さん会のメンバーがあいさつ。山口タイ会長は寄せられた支援に感謝をのべた上で、築地女将さん会を存続させ「協力しあって都、仲卸組合にも堂々とものを言っていきたい」と決意をのべました。
中澤誠さん(東京中央市場労働組合委員長)と山口さんが対談しながら移転反対運動について振り返り、「経営者の団体と労働組合・市民団体、さらには一般市民をも巻き込んで一緒に一つの運動をつくるという意味で、画期的なものだった」と総括。山口会長は「ここまでやってきたことに後悔はありません」ときっぱり。
中澤さんはまた、「築地市場関係者のほとんどが『渋々ながら』とはいえ、移転に応じたという事実は重い」とし、「築地市場の移転反対の運動は『負けた』と評価することを許してほしい」と語りました。「負けた」要因について「私たちの職場に民主主義を根付かせる運動が、まだまだ足りなかった」と分析しました。
一方、豊洲市場の地下水に残る汚染物質や交通事故の多発、駐車場不足など、「私たちが訴えてきたことは概ね的確であった」と強調。「具体的な内容については、負けたどころかむしろ圧勝」だと強調しました。
2人は最後に「偉大なる卸売市場である築地市場を後世につなげなかったのは痛恨というほかない」(中澤)、「まだまだあきらめきれない気持ちです」(山口)と、やりきれない胸の内を明かしつつ、「今日の集会を一区切りに築地市場の移転反対運動の旗をたたませていただこうと考えている。それは山積する問題に対して新たな旗を立て、一日も早く運動を起こす必要があるからです」と力を込めました。
集会では三國英實広島大学名誉教授が「食の安全・安心と卸売市場法改定問題」をテーマに報告。宇都宮健児さん(元日弁連会長・弁護士)が築地再生計画を批判。建築家の今川憲英・東京電機大学名誉教授が築地市場を文化遺産として活用する都への提案を紹介。共産党の尾崎あや子都議が、議会で追及した市場内に滞留する粉じん問題を報告しました。