日本共産党の吉良よし子議員が、10日の参院本会議で行った大学等修学支援法への反対討論の要旨は次の通りです。
反対する第1の理由は、修学支援の財源に消費税10%への増税分を充てると法案で明記をしていることです。
この財源を前提にするならば、その支援対象者を拡大するとき、またさらなる消費税増税が押し付けられる懸念が生まれます。
経済的理由により修学が困難な低所得者世帯の学生を支援するとしながら、低所得世帯ほど負担の重い消費税を財源とすることは許されません。
何よりも、消費税は、支援の対象となる学生にも、対象とならない学生にも重い負担となってしまいます。
見かけ倒しの高等教育無償化を口実に、消費税増税という重い負担を国民に押し付けることはやめるべきです。
本法案に反対する第2の理由は、支援対象とする個人、大学、それぞれに厳しい要件を設けることで、学生の教育の機会均等を阻むからです。
本来、修学支援とは、それぞれの学生が、みずから選んだ大学でお金の心配なく学ぶことができるよう支援することです。
それなのに、本法案では、支援対象とする大学等に対し、機関要件を設け、政府の方針に従わない大学等を選別し、支援対象から排除しています。
さらに、学生個人に対する成績要件も問題です。
本法案では、進学後の学生の成績等の状況に応じて、警告を出し、支給を打ち切ることもできるとしています。
こうして対象となる大学等を狭め、学生個人にもハードルを課すことで、学生の大学選択の自由を奪い、進学機会を狭めてしまうような要件はつけるべきではありません。
安倍政権が本法案について「高等教育無償化」と説明していることも問題です。文部科学大臣は、質疑の中で、本法案により学費は下がらないと公言したうえ、法文にも「無償化」という表現を用いていないと認めました。これを「無償化」と説明すべきではありません。
学生や若者への支援をするならば、将来の重い負担となってしまうローン型の奨学金をせめて無利子のみにすることが必要です。
国民の教育費負担をこれ以上増やさない。真の高等教育無償化をめざし、高等教育予算の抜本的な拡充こそ必要です。
(2019年5月11日付「しんぶん赤旗」より)