JR 早朝無人、都内で26駅 改正バリアフリー法1年

視覚障害者「交通弱者置き去り」
 バリアフリー法改正案が可決・成立してから1年が経ちます。同法は鉄道事業者などにバリアフリーの計画作成や公表を義務づけ、駅ではエレベーターやエスカレーターの設置が一定進んでいます。その一方でJR東日本(本社・渋谷区)は、首都圏の駅改札の早朝時間帯の無人化を推進しています。利用者からは「交通弱者を置き去りにするものだ」との声が上がっています。
 「始発時刻から6時00分頃まで、改札口の係員が不在となっています」 JR新小平駅(小平市)の改札窓口横に張り出された「遠隔案内サービスを実施しています」との案内です。同駅の始発は4時53分(平日の府中本町行)なので、駅が開いてから1時間余りは駅員がいない無人駅となります。その間、上下合わせて9本(平日)の電車が停車します。
 駅員が不在の間、問い合わせにはインターホンで応答し、自動改札機や券売機のトラブルには遠隔制御で対応します。
 しかし改札機の紙詰まりや線路への転落事故、震災時など、駅員がいなければ対応できないことがあります。視覚障害者は駅員がいるのかどうかやインターホンがどこにあるのかを確認すること自体、困難です。聴覚障害者はインターホンを利用できません。車いすでの利用には、前日の午後11時までに駅員か同社問い合わせセンターに連絡する必要があります。
 東京視覚障害者協会の稲垣実会長は「視覚障害者はラッシュを避けるため、わざわざ早朝に電車を利用する人も多い」といい、「駅員がいないと切符を買うにも大変ですし、ホームからの転落の危険も増します」と指摘。
 その上で「みどりの窓口はどんどん減っています。駅の売店の無人化も進めようとしていると聞いています。だれもが安心して安全に駅を利用できなければバリアフリーとは言えません。障害者を置き去りにするような合理化はやめてほしい」と訴えます。

首都圏は111駅
 JR東日本では、このような始発から午前6時半前後までの早朝無人駅を2014年以降、首都圏に導入。日本共産党の山添拓参院議員事務所が入手した国土交通省の資料によると、都内の駅では少なくとも約2割に当たる26駅(18年12月現在)が早朝無人化。埼玉、千葉、神奈川の1都3県を合わせると少なくとも計111駅にのぼります。
 人口の少ない地方では、無人駅は珍しくなくなっていますが、JR東日本は早朝とはいえ乗降客が比較的多い首都圏の駅にまで無人化を広げているのです。都内導入駅の多くは、一日平均の乗車人数が1万人以上で、中には約5万4000人の国立駅(中央線)をはじめ、2万人以上4駅が含まれます。
 JR東日本ホームページでは「すべてのお客さまに安心してご利用いただける快適な鉄道づくりを目指して、バリアフリー施設の拡充に努めてまいります」とアピール。その一方で、駅の早朝無人化を「経営体質の強化」「技術革新によるコストダウン」と位置づけ、推進。同社の17年度経常利益は3589億円に上ります。

 山添参院議員の話
 改正バリアフリー法は鉄道会社などに対し、ホームドアのようなハード対策とともに利用者を支援するソフト対策も進めるよう求めています。駅の無人化はこれに逆行するものです。障害者や高齢者にとどまらず、最近は有人改札で問い合わせをする外国人客の姿も多く、事故やトラブルへの緊急対応など、情報通信技術で代替できる範囲には限界があります。
巨額の利益を上げる一方、安全対策を後退させ、サービス低下でよいのか、JR東日本の鉄道会社としての姿勢が問われます。

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