2020年東京オリンピック大会開会が1年後に迫るなか、東京駅から3.5キロ離れた中央区晴海の都有地(13.4ヘクタール)に建設中の選手村マンション「晴海フラッグ」の先行販売受付が7月26日に始まりました。
この選手村には大きな問題が浮上しているとして、「しんぶん赤旗」が取り上げました。
記事をご紹介します。
選手村を整備するのは特定建築者と呼ばれる三井不動産レジデンシャル、三井不動産、三菱地所レジデンス、住友不動産、東急不動産など大手11社。
特定建築者は2020年五輪大会までに14~18階建て選手宿舎21棟と商業棟を建設し、大会期間中、大会組織委員会から選手村の貸し付け料38億円、都から大会後の改修費用445億円を受け取ります。
選手村は大会後に改修し、超高層マンションを2棟建設、分譲(4,145戸)、賃貸住宅(1,487戸)を建設、2023年3月から入居を予定しています。
第1期分譲(600戸)の販売価格は1億円を超える“億ション”が106戸、最高は2億3,000万円と、庶民には高根の花です。
都庁内からも「まさか2億円を超えるとは」とため息交じりの声があがっています。
都民が地裁に提訴
小池百合子知事は2016年12月、選手村整備の名目で東京ドーム2.9個分にあたる都有地を、11社に129億6,000万円で売る契約を結びました。1平方メートルあたり9万6,700円と近隣の基準地価の10分の1以下です。
「晴海選手村土地投げ売りを正す会」の中野幸則氏ら33人は2017年8月、都に対して舛添要一前知事、小池百合子知事と11社に値引き分を請求するよう求める住民訴訟を東京地裁に起こしました。
原告は、都有地売却は一般競争入札をせずに、財産価格審議会や都議会に諮らずに市街地再開発事業の手法で脱法的に安値処分したと指摘。
不動産鑑定士に依頼した鑑定評価書を提出し、選手村用地の土地価格は1611億円であり、都の主張する「オリンピック要因」を反映した場合でも1400億円の値引きになるとしています。
中野原告団長は「都営住宅を1戸も建てずに、不動産会社を大もうけさせる土地投げ売りは許せない」と憤ります。
共産党が是正要求
都議会で土地処分に反対し、ゆがんだ選手村計画の抜本是正を求めているのは日本共産党だけです。
共産党は、都が晴海の都市基盤整備費用を特定建築者に負担を求めておらず、11社は巨額の収益増が想定されると指摘し、売却価格の再検討を要求しました。
「しんぶん赤旗」も2017年3月14日付で、選手村受託企業に都幹部OB12人が天下りしていた癒着をスクープしています。
議会とメディアの追及、世論の批判が高まる中、都と11社は5月に分譲収入が計画より1%を超える場合には増収分の半分を都に追納することで合意しました。
徹底的に追及
原告代理人・淵脇みどり弁護士の話
都側は土地売却価格には「選手村要因」があると言い訳しているが、その根拠の説明も避けている。官製談合問題を裁判で徹底的に追及していく。
(2019年8月1日付「しんぶん赤旗」より)