「理解得る」の約束どこへ 羽田 新都心飛行ルートを決定

市民団体 「事故、騒音の危険消えず」

 国土交通省は8日、羽田空港の増便に伴い、都心上空を飛行させる新ルートを決定しました。決定に当たって同省は、前日の7日に開いた協議会で関係自治体の「理解を得た」としています。これまで同省は、ルート決定の前提となる「地元の理解」に、自治体のほか「議会や住民」も入ると、国会でも明言しており、「約束破りだ」と抗議の声が上がっています。(松橋隆司)

 同省は、来年の夏ダイヤが始まる3月29日に新飛行ルートの運用を開始すると発表。それまでに各国の航空会社との調整、検査飛行、公聴会、試験飛行など、スケジュールにそって準備を進める計画です。運航が始まれば、羽田へ向かう南風時の着陸ルートでは午後3時から4時間に、約2分に1機の割合で旅客機が都心上空を超低空で飛来。北風時は8時間半の間に最大172機が荒川沿いの江戸川、江東両区の上空へ飛来することになります。

 石井啓一国交相は8日の記者会見で、国際競争力の強化や観光客の受け入れのためには、「羽田空港の機能強化と、それに伴う新飛行ルートは必要不可欠」と改めて強調。騒音や落下物への意見や要望には「丁寧に対応していくことを前提に、地元の理解が得られたものと判断した」と答えています。

 これまで同省は決定について「地元の理解を得て」行うとしており、石井国交相は、「地元」とは何を指すのかと問われ、「地方公共団体、議会、住民」の3要素を挙げています。

 議会については今年3月末、品川区議会が、新ルート計画を「容認できない」と決議し、渋谷区議会も「計画見直し」の意見書をいずれも全会一致で可決しており、議会が「理解」をしていないことは明白です。
 住民向けの教室型説明会も、計画反対の声が圧倒しているのが現状。「みなとの空を守る会」の航路下アンケート調査では、住民の85%が新ルートの中止を求めています。

 日本共産党の宮本徹衆院議員は8日、国会事務所に国交省の担当者を呼び、自身の4月12日の委員会質問で国交相が「地元の理解のなかに地方議会も含まれる」と答弁していることを紹介し、全会一致の区議会の意思にもかかわらず「地元の理解が得られないなかで決定するなど許されない」と抗議。同席した白石たみお都議も「『地元の理解を得た』という根拠はまったくない」と批判しています。

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