9月1日の防災の日を前に、革新都政をつくる会、東京災害対策連絡会は8月26日、2019関東大震災メモリアルシンポジウム「地震学の到達点と巨大地震への備え」を開き、東京大学地震研究所の地震予知センター長の平田直教授が講演しました。
東大地震研・平田氏が講演
主催者を代表して今井晃・革新都政をつくる会代表世話人が「最新の知識と地震学の到達を学び、合理的な備えを国や東京都にさせる一環にしたい」とあいさつしました。
平田氏は講演で、最近起きた山形県沖(2019年)、北海道胆振東部(2018年)、大阪府北部(同)、熊本(2016年)など過去の地震による被害状況を比較。死因では、関東大震災は火災が87%で最多だったのに対し、阪神・淡路大震災は建物倒壊83%、東日本大震災は溺死が92%が最多だったと紹介しました。
地震・地震動は自然現象であり、震災は社会・経済現象で区別しなければならないと指摘。地震観測と研究によって、地表がどのように揺れるか、地震がどこで発生したか、なぜ、どこに地震が起きるかは分かるようになったと指摘。巨大地震がいつ起こるかの予測については、確率論的に示されるとしました。М(マグニチュード)7クラスの首都圏直下地震は、30年以内に発生する確率70%、南海トラフのМ8~9クラスの地震発生確率70~80%です。
平田氏は熊本市東区で30年以内にM6弱以上の発生確率は10%、益城町で27%だったことや、30年以内に交通事故で負傷する確率が15%、火災に罹災するのは1.1%という参考数字を示して、予測確率がいかに高いかを示しました。
事前対策が基本
平田氏は日本の地震防災施策について、阪神・淡路大地震、東日本大震災などを踏まえて、地震防災対応を事前対策から事後対応、復興・復旧まで総合的に強化することになったと説明。今年3月に内閣府が策定した南海トラフ地震の対応検討ガイドライン(5月に一部改訂)で、「発生時期等を明確にまたは精度高く予測することは困難」「一人一人がより安全な防災行動を選択していく考え方」を強調していると紹介しました。
また「より良い社会と生活のために自分のこととして、防災に取り組むための基本知識」である、「防災リテラシー」が重要だとし、自分の住む地域の自然、社会、災害を理解することや、他の地域の取り組み、歴史に学ぶことを勧めました。
そのうえで平田氏は「地震は不意打ち、社会全体で備えることが必要だ」とし、「災害を軽減するためには、事前対策が基本。できることからする」ことを強調。住宅の耐震化率や家具転倒・落下防止対策を100%実施すれば、建物被害による死者は8割、感震ブレーカーの100%設置で火災による死者を3%に減らせるとした試算を紹介。さらに被害をどうやって減らすかは課題だとしました。
最後に中山伸・革新都政をつくる会事務局長が閉会のあいさつをし、今回の講演を生かし防災に備えましょうと呼びかけました。