日本共産党の小池晃書記局長は21日、国会内で記者会見し、公立学校の教員に1年単位の変形労働時間制を導入することに反対する党の「提言」を発表しました。
衆院文部科学委員会、参院文教科学委員会にそれぞれ所属する畑野君枝衆院議員、吉良よし子参院議員が同席しました。
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安倍政権は、公立学校の教員に1年単位の変形労働時間制を導入するため、公立教員給与特別措置法の改定案を、この臨時国会に提出しました。
1年単位の変形労働時間制は、「繁忙期」に1日10時間労働まで可能とし、「閑散期」とあわせて平均で1日当たり8時間におさめる制度で、現在は民間のみ適用可能とされています。
小池書記局長は、同改定案が教員の異常な長時間労働を加速しかねないとして、導入を許さない世論と運動を広げることを呼びかけました。
小池書記局長は、人間の心身は「繁忙期」の疲労を「閑散期」で回復できるようにはなっていないとして、「1年単位の変形労働時間制は人間の生理にあった1日8時間労働の原則を破るものだ」と指摘。
学期中の労働時間がさらに長くなるとともに、さまざまな弊害と矛盾が生まれることを指摘しました。
さらに、小池書記局長は、政府が宣伝する「教員の夏休みのため」という理由は成り立たないと強調。
今の学校は夏休み中も業務があり、年次有給休暇の消化すらできていないのが現状です。
また、仮に夏の業務が減って一定の休みが設定された場合、今度は各自の代休や年休等を使う機会がなくなると指摘しました。
そして、①行政研修などの夏の業務削減 ②代休等の保障によってこそ、教員は休みを取れるようになると提案しました。
その上で小池書記局長は、1年単位の変形労働時間制を許さない取り組みを進め、導入に必要な都道府県や政令市の条例改正をしない、各学校でも導入しない決断をすることの重要性を指摘。「国は制度導入の圧力をいっさいかけるべきではない」と訴えました。
また、制度導入のため改定されようとしている公立教員給与特別措置法は「残業代ゼロ」を定めた法律で、公立教員の長時間労働の要因となったと指摘。
残業代不支給の規定こそ削減すべきだと述べました。
小池書記局長は、日本共産党が昨年11月に提言した
(1)授業数に比べあまりに少ない教員の定数増
(2)国・自治体、学校双方からの不要不急の業務の削減
(3)「残業代ゼロ」を定めた法律を改める
などの抜本的な対策をはかるよう求めました。
日本共産党提言「教員をこれ以上、長時間働かせるのか――「1年単位の変形労働時間制」導入に強く反対する」
(2019年10月22日付「しんぶん赤旗」より)