不支給570万、減額年107万
現在の基礎年金制度が1985年改正法で導入されて以降、度重なる制度改定によって、年金額の削減が続いています。年金引き下げ違憲訴訟東京原告団の田端二三男副団長(年金者組合都本部副委員長)が自らの年金で試算を行い、10月1日、東京地裁で行われた原告本人尋問で、削減続きの年金の実態を克明に明らかにしました。 (稲村七郎)
田端副団長が本人尋問 自らの記録で影響を試算
国は、過去の物価下落時に年金を引き下げなかった分は「もらいすぎ」として2013年から3年かけて一律に2.5%引き下げました。それ以前に制度改定を重ねて大幅に年金額を削減してきたことには口をつぐんでいます。
年金者組合は、年金引き下げは憲法25条に違反すると5297人が原告となって全国で訴訟を起こしています(現在1高裁、38地裁で審理中)。
田端さんは60歳で年金の受給資格ができてから73歳の現在に至るまでの支給内容についての通知書をすべて保管しています。その通知書に基づいて年金制度が改定されるたびに年金受給額がどのように削減されてきたかを法廷で明らかにしたのです。
田端さんの最初の年金受給は2006年4月。年額175万9200円でした。このスタート時点で、年金額は85年改正法の影響により、それ以前の算定方法で計算した額より約55万円も減らされていました。
85年改正法で、年金額の基礎単価を計算する給付乗率が25%も引き下げられたためです。
これ以降、改定が繰り返され年金額が削減され続けています。これらの改定による田端さんの年金の不支給額は、金額が確定したもので570万円あまり。毎年の支給額も改定前の計算式による額より107万円以上減らされています。これにとどまらず特例措置解消の名目での引き下げ、さらに物価上昇分の反映が抑制されるなど実質的な削減が行われています。
削減続きで巨額の積立金
田端二三男さんの話 85年改正法以降、年金の給付は下げ続けられた結果、約200兆円もの巨額の積立金が形成されてきました。さらにマクロ経済スライドで、前にも増していっそう賃金や物価に追いつかない年金になりました。
年金者組合が提言する最低保障年金制度の創設とマクロ経済スライドの廃止で、若い人も高齢者も安心できる公的年金制度を実現して行かなければなりません。